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聖剣伝説レッドソード  作者: 山田隆晴
結束

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41/44

13-2

 ジャンティ(&弥)、澪(&リーミン)、真、蓮の4人は光の剣を握り、立ち上がった。

目の前のがれきの上にあの4人の姿をした分身が立ちはだかる。

「さあて、どこまでできるか、試してみますか。」

 打席待ちのバッターのように真が左手を右肩に当て、剣を握る右腕をぐるりと回しながらがれきの上を見上げた。とてもここへ吸い上げられた時パニックを起こしかけていたとは思えない落ち着きぶりだ。普段宿泊客の無理難題に臨機応変に対応していることでメンタルが鍛えられているのか。

 一方蓮は柄を握る右手を左手で包むようにして両手で剣を握り気合を入れる。

「女は度胸。やってやろうじゃないの。」

 こちらも普段からメンタルが鍛えられているらしい。

 ジャンティが澪を庇うように彼女の前に出て言った。

「リーミン僕から離れるな。2人で当たるんだ。」

 以前の彼ならただ庇うだけだったが澪と弥に諭されたことを彼なりに受け止めている。

 がれきの上にいた分身が一斉に襲いかかってきた。

 ノイレンが蓮に、(シン)が真に、咲が澪に、そして璃羽がジャンティにと一対一に分断するつもりだ。

 ノイレンが舞うように軽やかに飛び跳ねて蓮に斬りかかってくる。『魔』はかつて受けた動きをよく再現している。蓮は必死にそれを防ぐ。剣で受け止めるのが精一杯で攻撃できない。するとそこに真がひょいと割り込んできてノイレンに一撃を入れる。もっとも剣撃は素人だけにすっと躱される。相手は分身といえど斬らねば斃せない。

 真と蓮は常に付かず離れず互いを補い合いながらノイレンと(シン)の相手をしている。

 2人の息はぴったりだ。流石に普段2人だけでペンションを切り盛りしているだけのことはある。初めて剣を握り、命のやり取りをしているとは思えないほど分身の攻撃を受け止め、躱している。

 ジャンティは澪を(彼にとっては常にリーミンでしかないが)リードするように連携をとっている。

 咲がちょこまかと動き回って澪を翻弄する。そのために無駄な動きが増えて体力が削られる。

「リーミン相手をよく見るんだ。どんなに動き回っていても攻撃の一瞬動きが変わる。そこに反応すればいい。」

 これは彼がノイレンに稽古をつけてもらっていた時の彼女の受け売りだ。澪は相手の動きに合わせて追いかけるのをやめ、じっくりと咲の動きに注視するようになった。

 ジャンティは璃羽の攻撃を躱しつつ、澪のフォローをしている。


 ノイレンと蓮は顔立ちがよく似ていた。

「なんだか鏡を見てるみたいで気持ち悪い。」

 蓮がノイレンと剣を交えながら睨み合う。頭ひとつ分背の高いノイレンがそれを利用して上から押し込んできた。そのまま剣を蓮の顔にめり込ませようとしている。蓮は押し負けて片膝をつく。ジリジリとノイレンの剣が目前に迫ってくる。

「うぐぅ、負けてたまるかあ!」

 蓮は横に身をずらすとともに剣先を斜め下に向けてノイレンの剣を滑らせた。ノイレンは押し込んでいた勢いのまま剣ごと甲板に転げた。そこへ蓮のうしろから真がひょいと現れてその背中に剣を走らせた。まるで竜が蓮のうしろからノイレンめがけて飛び出し背中に喰らい付いたように光の剣が躍った。

 その真の背後に(シン)が迫る。体勢を立て直した蓮が甲板を蹴って飛び、(シン)の胴にオレンジの光の剣を突き刺した。

 ノイレンと(シン)に化けていた分身は黒い霧となって消えていった。

 2人とも息が上がってその場に座り込んでしまった。


 ジャンティはノイレンよりも背が低い、一方璃羽はノイレンよりも少し背が高かった。彼は当時からその背の高さを羨ましく思っていた。つまりジャンティから見たら璃羽は見上げねばならないほどなのだ。蓮がノイレンに苦戦したようにジャンティは璃羽に上から押されてしまう。

 だがジャンティは璃羽相手にかつて以上の動きを見せていた。身長差を不利な要素にしないためにノイレンから教えられたように足を使って璃羽に攻撃の隙を与えないように動きまくる。ノイレンが猫のようにしなやかに動き、虎のように重い攻撃を繰り出してきたそれを意識して、攻撃に転じる瞬間に体重をかけて体格差を感じさせない斬撃を繰り出していた。

 400年前1人だけ生き残ってしまったことが彼の剣士としての腕を押し上げていた。

 璃羽に重い斬撃を加えてひるませたあと、リーミンのもとで共に咲を迎え撃つを繰り返した。咲は小柄さを活かしてすばしっこく動き回るが今のジャンティには通じない。完全に彼女の動きを見切っている。それだけに真っ先に咲を仕留めたいが、「妹ばか」までも『魔』は模倣してきた。ジャンティが咲に斬撃を入れようとすると必ず璃羽の邪魔が入った。それ故にまずはリーミンに相手を任せて、自分は璃羽を翻弄して咲を仕留めるための隙を作り出そうとしていた。

 ちょこまかと動いていた咲の足が一瞬止まった。攻撃が来る。澪はその足の動きを見逃さなかった。咲が体重を乗せてまっすぐに突いてきた。澪は迫り来る咲から目を離さずギリギリのところで躱す。そしてすれ違うときに咲の体に紅い光の剣を振り下ろす。切っ先が咲の太ももをかすった。咲は着地に失敗して転げる。澪は両手で剣を振り上げて真上から叩き込んだ。咲が剣を握る片手でそれを受けるが両手で振り下ろされた光の剣は澪の体重が乗って重い、咲の剣が宙に舞った。璃羽を相手にしながら視界の端に常にリーミンと咲を捉えていたジャンティはそのチャンスを逃さなかった。璃羽を蹴り飛ばして身を翻し咲に襲いかかる。

 ジャンティのうしろから「妹ばか」が追いかけてくる。ジャンティに剣先を向け、左手で柄頭を押さえてそのまま突っ込むつもりらしい。

「リーミン頼む!奴の剣をたたき落としてくれ!」

 ジャンティは澪に璃羽の攻撃を阻むよう頼んだ。

 ジャンティの目は咲のみを捉えている。しかしかつてヒュドラの8つ目の頭に集中していたときとは違って背後は自分から澪に頼った。

 後顧の憂いを払ったジャンティは一直線に咲に斬り込んだ。逆袈裟に下から上に向かって剣を振り上げて咲を斬った。咲が黒い霧となって消散した。

 璃羽は最愛の妹を狙うジャンティしか目に入っていない。まっすぐに彼に向かって突進してくるのを澪が待ち構えて璃羽の剣をたたき落とした。ようやく澪に気付いた璃羽は素手で澪に襲いかかる。首を絞めようと両手を彼女の首へ伸ばす。その腕をジャンティが撥ねた、かつてノイレンがしたように。両腕を失った璃羽はジャンティに噛みつこうと口を大きく開き迫る。その璃羽の額へまっすぐにタキシードソードを振り下ろした。唐竹割りが綺麗に入った。璃羽に化けた分身は黒い霧となって消えた。

 ジャンティは怒りに燃える眼で船の艦橋を睨みつけた。

「姿を真似て弄ぶだけでも許せないのに、動きや性格まで真似るなんて、どれだけ卑劣なんだ。絶対に葬ってやる。」



 真と蓮がジャンティたちのところへ来た。

「お見事ですね。」

 真が2人の活躍を賞賛する。

「いいえ、あなた方も凄いじゃないですか。ノイレン相手に勝てるんですからたいしたものです。」

 ジャンティが素直に感心していると、

「ちょっとそのノイレンと言うのやめてくれない?ちょいちょい旧姓で呼ばれているようでむずがゆいわ。」

 蓮がリスのように頬をぷくっと膨らませて口をとがらせている。

「わ、懐かしい。ノイレンだ。」

 ジャンティが笑うと、

「ほら!また言った!」

 ジャンティはそんな蓮をスルーして真に訊いた。

「ところで真さん。あなたが僕の知る(シン)ではないことは分かっていますが、一つ訊きたいことがあります。この船の水先案内人てどこにあると思いますか。」

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