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エルフェアという名のわたし

 わたしの名前はエルフェア。15歳の女剣士だ。

 冒険者となって旅に出てからもうすぐ一年になる。

 剣による戦闘がメインとなるが、1人で冒険者をしているからにはそれだけしかできない訳ではない。

 気配を感じたり罠を調べたりと盗賊職のスキルも持っているし、種類は多くはないが魔法も使うことも出来る。

 本職の剣士としても、この年齢のわりには強いつもりではいるが、やはり体格的に力押しには弱い一面もあることは認めざる負えない。だからこそ速さと技術に特化した戦い方を身につけようと努力しているのだが、目的を達成するためにはまだまだ実力不足なのは否めないと思う。

 今の時点で最も足りていないものは、単純な攻撃力だろう。もう少し成長し体格が良くなってくれば、力に頼る戦いもできるようになるかもしれないが、一朝一夕で身につくものではない。だが、それを可能にするものが存在しないわけではない。


 強力な魔力を帯びた武器。

 それが今最も求めている物である。

 だが、そんな物はそこら辺に転がっている物ではない。

 魔法の武器自体は、大きな都市の大きな武器屋や魔法具を扱う店にならあるかもしれないが、小さな魔力を帯びた物ですら莫大なお金を必要とするような物だ。

 冒険者歴が一年そこそこのわたしなんかが手を出せる物ではないのだ。本来ならば……

 実はわたしが腰に帯びている剣は魔力を帯びている。それほど強力な物ではないのだが、それでも通常の武器に比べれば切れ味も良く耐久性が高い。

 更にモンスターの中には、魔力を帯びた武器でないとダメージすら与えることができないものもいるので、魔法の武器という物の価値は高いのだ。

 運良く手に入ったこの武器を長く使うことになるだろうが、いずれは、出来るだけ早くに、もっと強力な武器を手に入れたいところである。

 より強い力を必要とする状況がいつ来るかわからないのだから……

 だからこそ、今の最優先は魔法の武器を手に入れることと考えていたが、すぐに手に入れることができるとは思ってもいなかった。

 まったく想像もしていなかったレベルの武器を手に入れることができるなんて……





 ギル・ウォールズを名乗っていた偽者は捕縛される流れとなった。

 冒険者という仕事が、登録制である地域であれば今回の様な他者を騙ることは基本的にできはしない。だが、今わたしがいる国は珍しく登録なしでも仕事を請け負うことができたことがこのような男を生んでしまった。

 当然、できるからと言って許される行為ではなく、依頼主の指示によりわたしを含む冒険者達で捕縛して、そのまま行き先の都市へと連れていくことになった。

 この男がなんでこんなことをしたのはわからない。バレた時のリスクを考えれば余程の理由があったのだろうが、正直わたしには興味がないことだったので、これ以上は関わるつもりはなかった。

 だから、わたしは違うことに興味を移すことにした。

 視線は他の冒険者へと。襲いかかってきた者達を撃退した状況を思い出す限りでは、実力が高いベテランが集まっていたようだった。そんな中でも1人、目を惹く存在がいた。わたしの視線はそんな1人へと自然と向けられていた。

 1人の少女へと……

 女のわたしでも見蕩れてしまうほどの美少女だった。柔らかそうで金色の髪を動きやすいように後ろで無造作に纏めているが、それを綺麗に整えて服装もそれっぽいものにすれば、どこかの良家のお嬢様にしか見えないほどだ。

 わたしも他の冒険者から見たらただの小娘にしか見えないだろうが、それでも冒険者らしい姿にしてはいる。一見だけなら少年に見えるかもしれないだろう。元々は綺麗な黒髪が自慢だったのだが、今は短く切り、敢えてセットも決めていない。

 ただでさえ若さと女という性別から、軽く見られるのを嫌っってそんな姿をしているのだ。だが、絶対に男だと思われようとはしてるわけではないので、普通に女であることは認識されていると思っている。

 そんなわたしの意識も、無意味だと思えてしまうほどに、目の前にいる少女は自然体の女の子に見えた。

 彼女は魔導士だと自己紹介した。

 確かに服装からも魔法使いであることはすぐにわかる。

 ゆったりとしたローブに身を包み、魔法の発動体であろう杖を両手でしっかりと持っている。わたしが見る限り中々良い杖のように思える。

 まだ若いのによくそんな良い物を、と、思った。

 わたしが持つ魔法の剣より強力な物に見えたからだ。

 見た感じ年齢はわたしと同じぐらいに見え、どんなに長く見ても冒険者歴は3年は超えないように思えた。

 その見た目からは初心者冒険者に見えもしたが、必要以上に緊張せずに落ち着いた様子にわたしはすぐにその考えを否定していた。

 実際に先の襲撃では、しっかりと護衛対象の守りを固めた上で周囲の支援を行っており、他のベテラン冒険者に見劣りしない実力を見せていた。

 魔法使いというのは、わたしのような前衛系以上に経験が大事だと思う。この若さで経験不足を感じさせない姿に、わたしの頭は自然と興味を向けている。

 一人旅をしている以上、他の冒険者の戦い方は大きな参考になる。対魔法高い戦用の知識として吸収しなければならないのだ。

 そんな何気なく向けていたわたしの視線に気づいたのが、彼女と視線が合った。少しバツが悪くなり視線を逸らそうとしたわたしに対して、満面の笑みが向けられる。

 僅かな驚きが、わたしが視線を逸らすことをやめさせる。

 何故、笑顔?

 歳が近いわたしと仲良くしたいのだろうか?

 少なくとも、わたしは興味はあっても、必要以上に仲良くするつもりは無い。他の冒険者と変わらない範囲で最低限の連携が取れればそれで良いのだ。

 どちらからということもなく自然と視線が合わなくなり、わたしは少し考える内容を変えることにした。

 今回の仕事についてへと……

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