第14話 王立魔法学校の怪談
両脇に双頭の龍が鎮座する正門を潜ると、大きな円形の広場に出た。広場の中央には噴水があり、右側にはとんがり屋根の白い円柱形の建物がある。私たちを取り囲むように建てられた建物は右側と左側にアーチ型の門が設けられており、どうやら庭園や図書館に繋がっているようだ。
「王立魔法学校って、すごい建物ね。お城みたい!」
周りをきょろきょろしながら感嘆の声を上げる私にウィルは「そりゃそうだろ」と興味なさげに言葉を返す。
「王立魔法学校はこの大陸に現存する建物の中で最も古く、城を改造して作った学校なんだ」
「そうなのっ⁉︎」
「確か、千年前くらいの建物だっけな」
「せ、千年⁉︎」
通りで言葉には言い表せない威厳を感じるわけだと納得した。「へー、千年ねー」と呟きながら建物の下から上までじっくり見回す私を横目に、
「まあ、歴史が古いだけそれなりの怪談話も揃ってるんだ。怖がりのおまえからしたら最悪だな」
「か、怪談⁉︎」
ウィルの言葉に驚いてつんのめりそうになる。
お化けだとか悪魔だとか、実態のないものが私はこの世で一番苦手なのだ。
「今通ってきた噴水、水の中から声が聞こえたり、夜中に覗くと死ぬっていう話、昔から結構有名だぜ?」
「え、死ぬ⁉︎」
慌てて後ろを振り向く。正門にあった銅像と同じく、双頭の龍の彫刻を付した噴水は、日の光を浴びて心地よい水音を響かせている。そんな噴水に物騒な怪談話があるなんて信じられない。なんだか怖くなってウィルとの距離を縮めれば、ウィルはあからさまに迷惑そうな顔をした。
「あと、噴水の横にある白い円形の建物。あれは礼拝堂らしいんだけど、その中にあるステンドグラスから誰かが出てくるとかって話も有名だな」
「ええ……」
次から次に出てくる怪談話に絶句する。まだ校舎にも入っていないのに二つも怪談話があるのだ。まだまだこれから出てきそうな怪談話に先が思いやられる。この世の終わりのような顔をする私にウィルは頭に手を組んでしれっとした顔で言い放った。
「だからおまえ、居残り勉強にならないようにせいぜい勉強頑張るんだな」
「そんな……」
私をさらに奈落の底に突き落とすのだった。




