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第12話 シャルルの打開策

「まずい! 遅刻だ!」

大急ぎで制服に着替え、ウィルとともに朝食を食べ終えたあと、私たちは玄関へと続く大廊下を走っていた。すべてスムーズに行けば良かったのだけど、制服の着方が危うく、さらには入学式の持ち物を前日に用意していなかったことが発覚し、気づけば遅刻決定の時刻になっていた。ウィルはこの私の失態ぶりに怒りを通り越して頭を抱えていた。

ウィルは走りながら、腕時計を見ると、焦ったように口走る。

「今、八時四五分。魔法学校は九時からだ。ここから魔法学校まで馬車でも最低、四十分はかかる! どうすればいいんだ……」

と走りながら考え込むウィルに、

「そんなの良い方法があるわよ!」

とぱちんと指をならして、思いついたように言った。

(なんていったってここは、科学と魔法の世界。馬車で時間がかかるなら、魔法を使えばいいのよ……!)

「魔法のほうきよ! 魔法のほうきを使えばいいんだわ!」

そう誇らしげに言えば、冷めたような目で見られた。

「結構良いこと言ったと思ったんだけど、何よ? 何かあるなら言ってよ」

と言い返せば、ウィルは深いため息をついた。

「そんなのは誰でも思いつく。王立魔法学校が厄介なのは、魔法による空中浮遊での登校は禁止なんだ」

「なんですって……!?」

まるで一気に崖の下に突き落とされたみたいだ。固まる私にウィルは、「入学式早々、遅刻するしかないか」と諦めたように言葉を吐いた。そのときだった。

「時の城の王子たるもの、遅刻なんてそんなものは許されないぞ、ウィル」

そう声がしたかと思えば、玄関のすぐ横のダイニングルームに続く扉が開いた。中から出てきたのは、カッターシャツに、黒のネクタイ。青色の髪に、片目に黒い眼帯をした―――、

「シャルル!」

「シャルル兄さん!」

シャルルだった。シャルルは背中に斬馬刀を背負ったまま、扉の横の壁に寄りかかった。

「ふん、不登校のシャルル兄さんにだけは言われたくないぞ」

ウィルがそう言い返せば、

「そんなことを言ってる場合か?」

とシャルルはにやりと笑った。不意にその青い瞳がそらされ、視線は開いた扉の奥へと移される。

そして、形の良い唇の端がふっと上がった。

「俺に、いい考えがある」

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