16.真偽
「義兄様、母様。私はラクトフェン王子が王配になって欲しいわ」
サンドラの意見を尊重したい。
「俺はなぁ……あいつ優秀なんだよなぁ。うーん、まぁ実際にサンドラが女王になるのは俺が死んだ後だし?」
なんて縁起の悪いことを!
「私は賛成よ!サンドラの理想を具現化したみたいな人だもんね」
サンドラが赤面した。何事にも動じないサンドラが…あのサンドラが赤面を!これは本当に彼の事が気に入ったのね。
「せっかく王宮に滞在してらっしゃるんだから、クレッシェにも会っていただきましょうよ!」
「う、うん……」
返事が悪いけど、陛下からの許可をいただきました~!
さっそく、お会いしてもらうことにした。滞在期間は1週間で短いもんね。
「クレッシェ、こちらはウエストクール王国の第3王子であられるラクトフェン王子。王子、こちらは王弟妃殿下のクレッシェよ」
互いに挨拶を交わした様子。
「クレッシェ、彼をどう見る?」
「うん、サンドラちゃんは彼が王配になって欲しいんでしょ?私も賛成……と言いたいところだけど、彼は誰?私の記憶にある方とは全くの別人。まぁイケメンには違いないけど」
偽物なの?影の情報が間違っているの?サンドラが傷ついてしまう。
「王家の人物を騙った全くの別人ということ?」
「そう。このままこの国を乗っ取るつもりかしら?あ、記憶にある方がイケメンだし大丈夫よ」
数日後、ウエストクール王国の使者がラックス王国にやって来た。
「我が国の第3王子であられます、ラクトフェン王子がこの国に数日後到着します。その折に王宮に滞在させていただきたく馳せ参じました。滞在期間は2週間。王子は諸国を巡り、その国の文化や歴史を学んでおります」
この状況に現在ラクトフェン王子として滞在している偽ラクトフェン王子は焦った。
「何だ?この者は?こんな者は我が国の使者として知らないぞ」
とシラを切った。しかし、今回やってきた使者はウエストクール王国の国王の印璽付きの文を持参でやって来た。その文には『今度うちのラクトフェンが行くからよろしくね~!』というものだった。…軽い。
混乱しているのはサンドラ。
全く何を信用すればいいのか?
国王の印璽というのは信用に足るよなぁ。
と、すると今いる‘ラクトフェン王子’は偽物?
「ほれみろ、胡散臭いと言っただろうが」
鬼の首を取ったように陛下が私に言った。
「サンドラ……傷つくから不用意な発言は控えた方が……」
「サンドラ様なら、先ほどから自室にこもられました」
そう言ったのはサンドラ付きの侍女。「よくも私の大切な王女を傷つけたな~」って目で見ないで~。
「まぁ、今度のラクトフェン王子が来たら全てがわかりますわ」
数日後にラクトフェン王子がラックス王国にやって来た。
「なにやら不穏な空気ですね?何があったのですか?」
私はかくかくじかじかと説明をした。
「はあ、なるほどね。では、その方と頭脳対決でも一つしてみましょうか?語学でも算術でも経済学でも私は構いませんよ?」
「語学だ!」
と、言うので問題作りに大変だと思ったのですが、
「語学でしょう?」
と、異国の言葉での会話をすることになった。それは、国内でも一部の人間しか2カ国語か3カ国語が話せる程度だけど、大丈夫かなぁ?
「母様、私がやります。私なら、5・6カ国語話せますから」
心強い子だなぁ。
まずは、先に到着した‘ラクトフェン王子’。
私はわからないけど、実際に会話をしているサンドラはわかるのかな?
次に後に到着した‘ラクトフェン王子’。
二人で何カ国語話すんだ?それすらわからないが、会話として成立してるのかなぁ?
「ふぅ、久し振りにこんなに会話をしましたわ。先に到着した方は職業が商人なのかしら?会話の感じでわかりましたけど、違います?」
「俺は王族なのに、商人などと辱められるなんて思わなかった。サンドラ王女には失望したよ」
この言葉だけでサンドラにはショックだろう。
「次に到着した方は本物の‘ラクトフェン王子’ですね?世界各国の文化など教えていただいて楽しく会話が出来ましたわ」
会話でわかるのか…サンドラちゃん怖いなぁ




