6話 提案
数日後の朝礼で宗介様から提案があった。
「来週からホテルでクリスマスディナーをする為の前段階としてハロウィンパーティーをする。
その前のテコ入れを思う」
「え、はろ?」
聞いた事がない言葉に私は混乱した。
「ああ、ナエさんにも説明するね。
ハロウィンはそう。西洋のお盆だ。
秋の収穫を祝う時期、あの世とこの世の境界が曖昧になる時に先祖を出迎えると同時に悪霊を祓う為の行事なんだ」
「西洋では秋がお盆で悪霊も来ちゃうんですか」
「ああ。そう言い伝われてるらしい」
「でもパーティとは?」
お盆はお祝い事とは違うイメージがあるからピンと来ない。
「うん。面白いのは日本との違いでね。
向こうでは死霊を迎える側は悪霊を普通に追い払わずに仲間だと思わせるようにする為に自分達も化け物の姿に仮装するらしい」
ほら、こんな風にと宗介様は本のあるページを見せるとそこには女性が猫みたいな格好をしたり、男性が木乃伊の格好をしている写真が載っていた。
「そして他にもハロウィンには面白い風習があってハロウィンの夜、各家庭では死霊が来ても家に入れない為にお菓子を供えておくんだ」
「そこは日本と似てるんですね」
日本では本当にお供えのために添え菓子をするが西洋ではそれがお守りになるみたいだ。
「そうして仮装して来た人達がお化け役をして各家庭にお菓子をあげないとイタズラするぞと言ってまわるから各家は彼らにお菓子を渡すという行事がハロウィンなんだ。
だからこのホテルでは秋の収穫と、うちはパンケーキが人気だからそれとは他にカボチャや秋が旬の果物を取り入れた菓子を集めた仮装ランチパーティ、スイーツヴィッフェを開きたいと考えたんだ」
「なるほど」
お盆と聞いていたから化け猫ホテルなんて言われている場所でハロウィンってどうなんだろうと思ったがそれならお客様も喜びそうだ。
「それでだが人がまず増えないと参加者も増えないだろう。何かもっとお客を呼び込むにはと悩んでいて何かないだろうか」
するとキッチンの女の子の1人が手を挙げた。
「やはりうちはパンケーキが人気がありますのでモーニング以外でもお出ししてハロウィンパーティでもお出しするのはどうでしょう?」
「それはいいね。そうしよう!」
「ではオムレツもモーニングだけでなく提供してはどうでしょう?人気ですし」
もう1人が提案する。
「いいよ。それも採用!他に何かあるかな?」
(何か、何かないかしら?
そういえばパーティにするなら何か他にも出し物があるのかしら?)
私が体験した事があるパーティのは鈴香が友人を呼んだクリスマス会やお誕生日会だ。
もちろん私はお手伝いだったけども。
(確かクリスマス会ではプレゼントを交換しあったり、ちょっとしたゲームをしていたわ)
「あの、パーティって事は出し物とかはありますか?」
「ナエさん、いい質問。ちょっとした商品をかけたゲームを考えてるんだ」
「じゃあ例えば割引や無料の宿泊券はどうでしょう?」
「それ、いい!」
「あ、あとはハロウィンパーティに参加してくれた人はクリスマスディナーを割引にするとハロウィンは人が増えるんじゃないかしら」
「ナエ様!」
「それは!」
庵さんや女の子達がざわつく。
「やっぱり割引はだめだったかしら?」
敷居が高い西洋ホテルを割引なんて提案したら失礼かしらとタジタジになっていると
「なるほど。ナエさんの言う通りだ!
やってみよう」
「はい!」
宗介様から採用されホッと胸を撫で下ろす。
「そうと決まれば宣伝をしなきゃだな」
早速、新聞社に連絡しないとと宗介様は意気込んだ。
「あの、オーナー」
すると女の子の1人がおずおず手を挙げた。
「何だい?」
「あの、ハロウィンの当日は向こうでは皆さん仮装をしてその日を過ごすならお客様や私達も仮装が必須でしょうか?」
「あ、確かに。それは考えていなかった。
せっかくのパーティだ。
やりたいけど、本格的な物は用意するのに時間ぎかかるし何より仮装する決まりを付けると参加者も大変だな。
何よりハロウィンはまだ皆知らない人の方が多いからな」
うーんと考えていてどうしたものかと考える。
「あ、でもこの猫の耳ならカチューシャで作れそう」
「このいったんもんめんみたいなのもシーツみたいな布でできそう」
「だったらこのドラキュラ?っていうのかしら?このマントなら古着屋さんにもありそうよね」
「見てこの写真、カボチャをくり抜いて頭に被ってる人もいるわ!」
女の子達は本を見ながら話す。
「よし、じゃあお客様の仮装は簡単な物を皆で作るのはどうだろう」
「賛成♪」
宗介様の提案に皆が乗っかった。




