5話 疑問
翌日
「まあ、ルームサービス?」
「はい。こちらお2人にホテルから気持ちばかりのお祝いとしてお出しさせて頂いてます。
代金は掛かりませんのでぜひお召し上がり下さい」
庵さんが運んだのはさっき私がキッチンの女の子達と一緒に焼いて色とりどりの果物を添えた一品だ。
カードにご結婚おめでとうございますと一筆を添えた物を無償でお出しする事にした。
「まあ、パンケーキ久しぶりに食べるわ」
「よかったですね。ユリ様」
「あら、これは私とあなたの分ですよ」
すると多聞様は本当に良いのでしょうかと戸惑いながらも礼を多聞さんや庵さんに言っていた。
チェックアウト時
「パンケーキありがとうございました。
羽犬塚さんから聞きました。
私達の為にみなさんがしてくれたと聞きました」
(羽犬塚さん、2人には私が差し入れした事は伝えなくていいのに)
「とても嬉しくて、まるで西洋の結婚式はケーキを食べると聞いた事があるから彼と2人でパンケーキを食べれてまるで小さな式を挙げた気分になりました」
「私もあのような菓子を食べたのは初めてだったので、良くして頂きありがとうございました」
深々とお辞儀をする2人にこちらも嬉しくなる。
「あの、ホテルのオーナーの奥様と聞きました。きっと素晴らしい式だったんでしょう」
ユリさんは私に憧れの眼差しで聞いてくる。
「ええ?あ、ええ。そうですね」
「やっぱり場所はこのホテルで?下に小さな教会がありますもの」
下に見えるホテルの敷地にある人が数人しか入らないような教会に目線を向けながらユリさんはうっとりしている。
「ええ」
(嘘だけど)
「やっぱり、私も憧れますわ」
「ユリ様、それくらいに」
ホテルウェディングに気後れした多聞さんが興奮するユリ様を止めた。
「あら、私ったらつい。でも私もこれから多聞の住んでいた町で生活しますの。
どうなるかはまだ分かりませんがまたここに来てお料理を食べたり、できたらいつかお2人みたいな素敵なご夫婦と言われるようになりたいわ」
「そんな」
ユリ様の方がずっと素敵だ。
「クロも、最後にまた撫でていっていいかしら?」
「はい」
そうしてユリ様は名残惜しそうにクロを撫でた後ホテルを後にした。
「喜んでくれたみたいでよかったね」
「はい、ってえ?」
振り返ると後ろに宗介様がいた。
「2人がチェックアウトする時から見てたよ。
一応俺も気にかけていたしね。
まあ心配してたような事も起きなかった訳でよかったよかった」
「はあ、まあ確かに」
(宗介様はユリ様を達心配されていらっしゃる?)
確かに身分を捨てての駆け落ちだから心配するのは分かるが宛はあると言っていた。
「あのお2人隣の県が多聞さんの故郷だそうでそちらに行くみたいです。
多聞様もお仕事を紹介してもらえるしユリ様もお花を教えたいと話していました。
だからそんなに心配しなくても大丈夫みたいです」
「ーうん。そうだね」
(宗介様は何がそんなに心配なのかしら?)




