短編小話 2度目のハロウィン準備
「やけにバタついてやがる!」
猫又のクロはホテルのフロント裏にあるソファを陣取って忙しく動き回る従業員を見てため息をついた。
「だってもうすぐハロウィンなんだもの!」
ナエがクロに作業しながら伝える。
「って事はナエが来て2回目のハロウィンになるのかあ♪」
さっきの仏頂面はどこえやら。
ナエの事ならまるで別の猫になったかの表情のクロは上機嫌だ。
確かにナエが来た頃はここは化け猫ホテルと噂されていた。
しかしそれはもう過去の事だ。
今は化け猫から猫又になったクロがここにはいる。
いつの間にかホテル猫柳に来る客は口々に「神様がいるホテルなんでしょう」と聞いてくれる。
最初の内はまんざらでもないクロだったが毎回続くと耳にさわるらしい。
「あ〜あ、忙しい。誰かさんの手が借りれたらいいのになあ」
クロを見ながら宗介は小言を言う。
「・・・・・・」
「無視かよ」
「なんでお前の意見を聞かなきゃいけない?」
「もうクロったら」
一応宗介様は主人なのにとナエも思うが1人と1匹のやり取りが見ていて本人達には言わないが微笑ましく感じている。
「確かにここに来てもう1年が経ったのよね。
今年はどうなるかしら?」
「前回は誰かさんのせいで大変だったからな」
宗介はクロにまた小言を言う。
去年はナエの妹達が押しかけてきた。
妹はナエに文句を言って騒いだ事で化け猫のクロが大暴れして妹達に大目玉をお見舞いしたのだ。
「よく言うぜ。お前だって最初から俺に出て来させる気だっただろ」
不服だとクロは抗議する。
「まあナエさんの悪口をあれだけ言われちゃあなあ」
確かにあの光景はすごかった。
地響きがズズズとしたかと思うと
「いやあああ!!」
ドタン!バタン!と目の前の部屋からいくつもの悲鳴が響き、すごい血相で家族は出て行った。
「まあ鼠を追い回せて俺は満足したぜ」
終わり良ければなんとやらだ♪とクロは笑う。
「鼠ってクロったら。
でももう今年は大丈夫よ」
「分からないぜ。
悪い事を考えてる奴は案外近くにいるもんだ」
「その時は今度はお前の神通力をお見舞いしてもらうさ」
宗介が笑う。
呪いを使い巨大化する化け猫から神通力が使える神様になったクロ。
しかし、今のクロが力を使えば悪者だけじゃなくホテル自体が大変な目にあいそうだ。
「そうしたら悪者は早々にチェックアウトしてもらわなきゃいけないわね」
ナエのセリフにドッと笑いが起きた。
こうしてナエ達はまた準備にまた取り掛かるのだった。
ホテル猫柳はまだまだ賑やかになりそうです。
【完】
後日、まだまだ化け猫ホテルの番外編を投稿します




