14話 昔話
「来ないで!」
と言ってクロはホテルを走って、走ってある場所に着いた。
(カヨとの思い出が詰まっている場所・・・)
久しぶりに体調が良くなったカヨが久しぶりに屋敷の周りを散歩した帰りに急に小雨が降ってきて急いで戻ると、彼女は床下にいる黒い子猫を見つけた。
「そんなところにいたら私みたいに身体を悪くしちゃうわ」
そう言ってすぐに使いにタオルを持ってこさせ
「ほら、暖炉に一緒にあたりましょう」
と言って一緒に暖まったり、ミルクをもらったり野良のクロにはカヨは天使に見えた。
しかし天使は身体が弱いのかすぐにクシュンとくしゃみをする。
「お嬢様、猫は私達に任せて、寝てください」
「この子も一緒よ」
「ダメです。毛が舞うんですから、せめて風邪が治るまでは私達が別室で面倒を見ますから」
「分かったわ。ああ、でも先に名前を付けさせて。
そうね。安直だけどクロよ。クロ。
黒猫はお喋りで甘えん坊って聞くわ。
早く風邪を治すからそうしたら一緒に遊びましょうね。クロ」
お嬢様の言葉にクロはなーん♪と鳴くとカヨはクロを可愛い可愛いと褒め、使いには早く寝なさいと注意された。
「カヨ・・・」
ナエに拒絶された今、身体を縮めてクロはカヨの名を呼ぶ。
そうしてカヨが言っていた言葉を思い出す。
「クロ、あなたが人間だったら美丈夫で素敵な人になるわ。
本当に人だったら私の旦那様になってほしいくらい素敵よ。
ああ、でもこの姿でなくなるのは悲しいわ」
なんて笑いながら抱きしめてくれたのだ。
あの時、クロはカヨの側にいられれば人の姿もいいものかもしれないと思った。
でもナエは違ったみたいだ。
(分かってる。カヨとナエは似てるけど違う)
クロだって分かってるのだ。
でも、だからこそ
「ナエにも俺の事カヨみたいに好きになって欲しかったのにな」
嫌い!とナエに言った時、彼女は宗介が倒れた時と同じくらい悲しい顔をしていた。
(ナエごめん・・・)
そう思いながらクロは更に身体を縮こまらせた。
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私、ナエはクロが消えて彼を探していた。
「クロ!クロ!どこにいるの?」
しかしクロは見つからない。
番になってと笑うクロの姿をナエは思い出す。
「ダメよ。だって私ー」
そう言葉を発してやっと気づく。
(私、宗介様が好きなのだわ)
弥七さんに言われた時は気づかなかったけど今ならそう言える。
だからその為にもーー。
(いえ。それもあるけど、クロにちゃんと謝らなきゃ)
私は引き続きクロの名前を呼んで探す事を続けた。




