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スマート・スタート・ニューワールド  作者: ハニチキン
第一章 ビギンズバースデッド
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第八話 私の為に、あゝ、世界よ


「なんで私がテメエの裏切りなんかに協力しないといけないのよ。変なことしてパーティから追い出されたくないもの」


「そこをなんとかぁ。第一、君がどう頑張っても私に逆らえないのぉ。君じゃあ私に勝てないからねぇ。」


満足気な表情でファエルは香の目を見ている。香は諦めたような顔をして、ファエルに言った。


「わかった。テメエの裏切りに協力してやるわ。ただし、テメエが裏切りに失敗して死にそうになってもテメエを助けねえし、私とテメエの関与は最大限隠せよ。こんな奴と関わってるって知られたらよ、リリスにメモリースタンプされる。あの感覚まじで嫌いだからテメエは私の為に頑張れよ。」


「了解したわぁ。最大限努力するよぉ。」


ファエルは目を閉じて歩き始めた。そして振り向き、香に笑みを見せた。


「それじゃあ、お互い死なないように頑張ろうねぇ。」


「待て待て、なんか作戦とかあるんじゃあないの?」


「ああ、それは随時伝えるわぁ。ここにいすぎるのもあまり良くないものぉ。」


ファエルは姿を消した。香は溜め息をつき、破片となったレポートを集めて解凍した。ホテルにあった羽根ペンを使いレポートを書き始める。


「本当、最悪な一日だったわ。なんでこんな目にあわなきゃいけないのよ。異世界転移って大抵チートもらえるはずじゃあないの?これがチートなら神は世界を甘くみていると思うわ。一旦便器の水で溺れて考えなおして欲しいわ。そもそも転移させたのが神かは知らないけど。」


長々と戦闘のレポートを書きつづける。サイアクなメに会いすぎてもう慣れ始めているのかも知れない。数枚のレポートを書き終わり、ベッドに横になる。布団は暖かい。


「おやすみ、私のいた世界。」


ーーーーーーーー


「おはようございます。いい天気ですね。」


目が覚める。目の前にはリリスがいる。ザアザアと音が聞こえる。雨が降っているのだ。


「…なんでいるの…?」


「香さんの書いたレポートを回収しにきました。どうせなら私の手柄にしようと思いましたが、香さんの寝顔に免じてそれは許してあげましょう」


「リリス、ところでさ。」


「はい?」


香は窓の外を指差す。たくさんの大きな雫が天から地に向かってぶつかり続けている。


「これのどこが良い天気なのッ!?」


ーーーーーーーー


「今日はギルドにレポートを提出したあと、国の方の王城に行きましょう。国は強力な犯罪者3人を倒し、犯罪組織の存在を発見した私たちパーティに感謝したいらしいですよ。」


「感謝って言うと、報酬金って奴か金銀財宝の一部かな!とことん貰って豪邸を買いたいわ!」


「豪邸とか犯罪者に狙われて終わりですね。現実を見てください。現実を…。私もやっぱり豪邸で豪遊したいです!そうするべきです香さん!酒をドバドバ飲んで賭博をたくさんしたいです!」


「リリス…。あんたには金はやれねえわ。」


「なんでぇッ!?」


香とリリスはホテルを出てパン屋でクロワッサンとメロンパンを買ったあと、公園のベンチで大雨の中食べて、ギルドに向かった。道中、チンピラに絡まれたり、キャッチセールスをしてくる野郎が現れたりしたが、木の棒で打ち上げて山の方へぶっ飛ばした。リリスが水魔法で奴らの落下の衝撃をカバーしているので死ぬことは無い。そんなことがありながらもギルドに着く。モネとブラウンは先にテーブルで待っていた。


「よぉ、眠れたか?あーしは死体を見たせいで眠れなくてよ。30分しか寝れなかったぜ。」


「それは大丈夫なの?」


「王城に行く分には問題無しだぜ」


そんなことをブラウンと話した後、香はすぐにモネを見た。モネは笑みを浮かべてすぐに話し始めた。


「多分聞いているはずだけど、これから王城に行くことになったよ。僕達のパーティに会いたいらしいよ。王女様がね。そういって馬車を手配してくれてる、けど雨が雨だから来れないらしい。だからこれから僕達は歩いて向かうことになるね。と言いたいところだけど、なんで君たちはすでに濡れてるのかな…? 大丈夫?」


大雨の中パンを食べてチンピラをボコした香とリリスはどこからこのザマを説明しようかとお互いの顔を見合った。お互いの顔を見るとすごくバカに思えて二人は笑いはじめた。

外を見ると何か空間が尖ったように見えた。きっと奴がいる。そう考えて香は言った。


「大丈夫。それと大雨のことは気にしなくていいわ。私の*友人*が送ってくれるから。」


きっとファエルは苦い顔をしている。断りづらい状況にしたことには申し訳ないとは思っているが、これからのことを考えると仲のよい友人という関係にしておいた方が良いと思った為、利用することにした。すぐにファエルは現れた。


「初めましてぇ、香の友人のファエルです。以後お見知り置きぃ」


そしてファエルは香の耳を引っ張り静かな場所に連れ込んだ。


「一体何を考えているのぉ?」


「そっちこそ考えてみなッ!無条件で王城に入れるんだ。それに友人ということにしとけば裏切った後にギルドやら国やらを使って安全に暮らせれるんだ。別に嫌なら断ってもいいんだぜ!乗るか!乗らないか!」


「…。乗ることにするわぁ。それに、モネにはすぐ魔女ということがバレるだろうしぃ」


「いいねぇ!最高だわ!それじゃあ行こう!お互い利用し合って、良い未来を掴みましょう?」


「…勿論。お互い死なないようにねぇ」

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