三章第二話 偶像片の鎮魂歌
「ヤバいヤバい、私じゃなきゃ死んでたよ!『偏空』って言うんだ!それ!」
少女は無理やりヨーヨーを外して息を落ち着かせている。それにより腕は抉れ顔は修正中だ。ナチュアはヨーヨーを戻し、再び構えた。少女は目を閉じてマフラーを撫で、目を強く開ける。威圧するような、悪寒のような。
「もう一回抉るよ!ウチはやるといったらやる人だからねッ!」
「ふ〜ん!触れるならね!」
少女は背中から白銀の翼を生やした。どこか気味が悪くて、神秘的で、威圧されてるような、そんな翼だ。ナチュアは圧力を加えて少女の立つ床を破壊して床下に落とそうとした。しかし少女は依然余裕のある表情である。そして翼を羽ばたくと、風に触れた壁や床が石化して崩れ落ちた。
「ふぇッ!?何それ!マジヤバいじゃん!壁も床も崩れちゃった!」
「折角だし教えてあげるよ!『フォーユー・レクイエム』を!この翼から放たれるオーラに触れたものは触れた部分の魂が崩壊するの!どんなものにも魂が宿っているから、どんなものでも簡単に崩壊させれるの!」
「はァッ!?マジ最悪!こんなバケモンと戦わないといけないとか!せっかくトンネルからぶつからずに済んだのに〜」
ナチュアは一点の圧力を減らして高速移動し、風を避けようとする。しかし、風も吸い込まれてしまう。そのため、翼の近くにも低圧部分を生成して、風を吸い込まれるようにした。
「考えたね!私の風が通らないッ!」
「そーでしょ!ウチの名案最高すぎるっ!」
「だから何って感じだけど」
少女はオーラを一点に集めて放った。放ったそれは一直線に、全てを崩壊させてゆく。ナチュアは間一髪で圧力を加えて打ち落とした。
「あれを喰らったら死ぬしそれ以外は有効打にならないしどーしようかなー!何がいいと思う!?ウチは思いつかない!」
「敵に聞くもんなの!?それ!」
ナチュアはヨーヨーを使い静かに怯えていた魔法使いから薬瓶を奪い、口に含んだ!少女はそれに驚愕した。床が溶けるほどの強酸を、コイツは飲んだという事実に!
「バカなの!?私でもそれは耐えられないよ!?でもこれはチャンス!!直に叩き込む!」
「敵が奇行を始めた時は注意しなさい。戦闘の当たり前だよ!」
ナチュアは近づいてきた少女に向かって液体を吐き出した!ナチュアは口の中で低圧区域を作り、そこから液体が一切外に出ないように調整していた。液体は少女に綺麗にぶつかり体が溶け始める。再生が間に合っていない。
「もう間に合わないか…。クソみたいな人生だったな…。」
「いーやまだ間に合うよ!」
ナチュアは一点に大きな圧力を加え少女を蝕んでいた酸を奪い取った。
「あれ!なんで助けてくれたの!?」
「理由は一つ!確実に油断させて圧力で全身潰すためだよ!」
「うわー!?誰か助けて!!盗みをしたのは悪かったから!ちゃんと捕まります!ごめんなさい!更生します!」
「もう遅いよ!」
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ナチュアが少女に止めを刺そうとしたとき、亜空間から威厳のある鎧を着た、下半身が馬の、ピエロのお面を被った男が現れた。近くの魔法使いや貴族が怯え始める。そのうちの1人が叫んだ!
「アイツは魔王軍幹部だッ!違いない!絶対にそうだ!あの魔力の濃さもあの変な格好も聞いたことがある!逃げろ!逃げるべきだッ!!」
「この俺が逃すと思うかね。我が名はジャヌス!魔王様に仕える三番隊隊長だ!」
魔王軍幹部がそう叫ぶ。少女はそれを無視してナチュアの方に近寄った。
「ねえお嬢さん、私と組まない?ピンチなのだから組んだ方が絶対勝てる!私の名前はポンプ!」
ナチュアは悩む。犯罪者と組むのは何か嫌悪感があったからだ。
「背に腹はかえられないしー…。いいよ。組んだげる。だけど、魔王を討伐したら即解散だからね!」
「了解!お嬢さん名前は?」
「夏羽…じゃなくてナチュア。ナチュア・シンボラム!よろしくね!」
「よろしく!それじゃあ、彼奴の夢想にレクイエムを奏でようね!」
「ウチの前に立つんなら、死んでも死んでしまい死にたくなるくらいにえげつない一撃を喰らわせてやるの!」
「おー怖ッ」




