二章第十話 溺れろ
「え?香さんどころかモネもいないんですか?」
リリスはギルドに来た。そこにはブラウンしかいなかった。
「なんか用事があるとかで海に行ってるらしいぜ。どうせ砂浜で自己PRでもしてんだろ」
「否定できないので悲しいです」
「リリス、香にはしょっちゅう否定してんのによお」
モネはスタック・ライトを使用し、すぐ空き家のある海に来ていた。そして石を拾いあげ、それを投げた。
「成功すればなんとかなるかもしれない!だから、成功してくれ!!」
とある海面の上に来た時、海からものすごい音が聞こえてきた。近づき、そして海面から現れたのは、傷だらけで一部抉れている香だ。
「ゴホッ、助かった“。」
「傷だらけじゃあないの!…やっぱり磁力を与える物が無かったから上がってこれなかったのか」
「ええ、大正解。ちょっと、そこの昆布取ってくれない?」
「いいけど、何に使うんだい?」
香は昆布を傷口に巻きつけ未だ止まって無かった出血を止めた。モネはそれを見て非常に驚いている。
「さてと、その感じだと一回過去に戻ったの?」
「ああ。タラソフォビアによって、一度王国が崩壊した。」
「ヤバすぎ!?急がないとじゃんッ!!」
「それで本当に大丈夫なのかい?」
「勿論。早く行くぞ!」
ーーーーーーーー
スタック・ライトで移動中、香は王城の方へナイフを投げた。そして、王城近くになったとき、風魔法で強烈なジャンプをして、王城に入った。そこにはオーパーツを合成し終わったタラソフォビアとベリアルがいる。
「私は!機械仕掛けの神となった!溺声の因子も健在。素晴らしい、なんて素晴らしい感覚だ!ああ、今ならパラシュート無しのスカイダイビングすら怖く無い気がするよ!」
「くたばれ」
ベリアルがタラソフォビアに殴りかかる。タラソフォビアはそれを受け止めるも腕が破壊される。すると即座に腕が復活した。
その頭上から香がかかと落としでタラソフォビアを破壊しながら現れた。香は白い空気を纏っている。
「死んでいなかったのか!?だがしかし、この機械仕掛けの神となった私の前では無意味ィィッ!!」
「精々語れ、遺言にピッタリの奴をなッ!!」
タラソフォビアがミサイルを放とうとするもうまくホーミングできずに墜落する。レーザーはその空気に反射して自らの方へ返ってくる。銃弾は決定打にすらならなかった。
「一体どうなっているんだッ!!?何故技が使えない!!」
「水だよ。この水は物の間に入り込んでそこに留まる。するとうまく機械が作動しなくなるんだ。レーザーは空気中の水滴に反射する。ま、少し細工はしているけど」
「では何故、何故水を生成できているんだ。お前は溺れているはずゥ!!それなのにッ!?」
「これは既に魔法ではない。生成し終わってるからな。そしてこれで、ようやく対等な条件だな。怯えろよ機械風情」
香は構える。タラソフォビアもそれに合わせ構える。
「お前のような凡愚程度がこの私に勝てるとつけ上がっているのかァァッ!?」
タラソフォビアは勢いよく右拳で殴りかかる。香は二本指でタラソフォビアの腕を掴み左拳で脇を殴り横腹に肘を叩き込む。タラソフォビアは右足を全力であげて香を蹴るも打ち上げたことにより香は空中で回転し二度拳を顔面に叩き込む。そして柔らかに背を曲げ踵落としを決める。
「神となった私がァッ!何故押されているのだァッ!!愚か者がァァッ!!」
タラソフォビアは大きく振りかぶり拳を香にぶつけようとする。そのときに目から銃弾を放ち、香の額に撃ち込む。
「勝ったッ!最後の一撃を喰らって死ねッ!!」
腕を大きくあげて叩き込もうとした。その瞬間に飛んできたナイフがタラソフォビアの胸を刺す。香はすぐにナイフで解剖しオーパーツを奪い取った。
「私のォォォォッ!オーパーツがァァッ!!!」
動揺によって溺声が一瞬消えたことを、香は見逃さなかった。
香は蹴りでタラソフォビアを王城外へ飛ばし、風魔法で加速しタラソフォビアを空気に押し続ける。
「この程度でェッ!!この程度でェェッ!!!!」
「そうか?テメエの心の程度が低いだけなんじゃあねえか?もう、テメエは見たくもねえしその悪趣味な身体も捨てることになるんだからよお。お前に与える慈悲なんかねえよ。だから精々、私に殺されることを喜べ愚者未満」
海の上空へ辿り着き、香はタラソフォビアの背に立った。
「さてと、潰れて儚くもなんともねえ隙間のゴキブリ未満の末路に降れッ!」
香はタラソフォビアの背を海面に殴り飛ばして香も空気を蹴りタラソフォビアに向かって落ちていった。
「最後まで休ませねえよッ!ブラ゛ァッ!!ぶちかますぜッ!!」
香の周囲に数球の鉄球が現れ、タラソフォビアに向かって音速でぶつかり続ける。そして香は最後に奴の腹を殴り海へとぶち込んだ。
「テメエのような奴に慈悲なんて与えねえよ。テメエは私の前で、『友人』を悲しませたんだからな。__地獄に帰れ」




