二章第五話 溺れる
本棚から透明な糸が飛び出してきて、ファエルを拘束する。ファエルは何かを言おうとしたが声が発せていない。
「お前は殺すに惜しい。辞めずにこの私に着いてくればよいじゃあないか。幸せになれるぞ。」
ボスはそう言う。しかし、ファエルは揺るがない。突然水が弾け飛び、そこから香が現れる。香は透明な糸を手刀で切り払いファエルを持ってゲートに入った。タラソフォビアはそれを逃さないようにとゲートに入り追いかける。
ゲートを出ると機械兵がたくさんいた。機械兵は口を開けるとそこから銃弾が飛び出て、香はそれを間一髪でかわし続ける。タラソフォビアはジェットパックで廊下を自由自在に飛びながら追っかけてくる。
香は走り続ける。
レーザーが現れる。避けながら進むも一つ当たってしまう。レーザーに触れると爆弾が現れてこちらをホーミングして追ってくる。その爆弾もレーザーに触れて別の爆弾が現れる。その爆弾は先の爆弾を追いかける為どんどん指数関数的に増えていく。
香は爆弾など気にせず走り続ける。気にしたら追いつかれるからだ。魔力がなければゆうに追いつかれていただろう。倦怠感があっても追いつかれていたかもしれない。そう思い憂鬱になるが、そんなことはすぐに忘れ逃げに専念する。
香は走り続ける。
突然プレス機が現れる。勢いがあり、最初にこれを使われていたら殺されていたと感じた。タラソフォビアはこれをいつでも作り出せるようで、空に浮いていてもそれはこちらをつぶしにくる。速度と反応でかわし続ける。
香が廊下を抜けたとき、機械兵に包囲された。しかし止まれば潰されるため、機械兵を踏み続けかわし続ける。銃弾が飛び交う。ファエルにそれが当たらないようにしながらかわし続ける。
ラジコン飛行機のようなものも現れた、羽が大きくそれは簡単に生き物を斬り殺せそうなほど鋭い。そしてこれも例に漏れず銃弾を放ってくる。銃弾に当たらないなんてことは不可能なため少しの痛みは許容して走り続けた。爆弾も追いついてきた。爆弾は弾丸の射線上に誘導することで処理した。逃げ続けて最初の場所についた。
ついに、最初のゲートが見えた。香はそれに飛び込む。
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「ふぅ。なんとかゲートの外に逃げれたわね。ほんと、クソゲー極めすぎて安堵に塗れてるわ。」
「まだ、警戒しないと死ぬわよぉ。多分すぐ来るわぁ。声が出せるようになったのは声を出せなくする因果がおまけに近いからよぉ」
「そうだわね。気をつけていきましょ。」
ファエルを降ろして、一度呼吸を整えていた。ファエルは口ではああ言いながらも少し安堵していたようだ。
「早く逃げて、全てを王国の上層部に報告して組織を潰そぉ。これで私達は犯罪組織なんか気にせず楽しく、星空を眺めれるわぁ。そうよ、お月見をしよぉ。報告して組織を潰したら、貴女と貴女のパーティでお月見をしよぉ。楽しくなるわぁ」
ファエルは笑顔でこちらを見ている。
ゲートから人が出てくる気配はない。呼吸が整い、再度逃げ始めようとした。
ゲートから数発の銃弾が出てきた。ファエルの方へ向かって飛んでいる。ファエルはそれに気づいていない。
何故か声が出せない。恐らくタラソフォビアがもうそこにいるのだ。
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香は銃弾の射線上に立ちファエルを守った。変に軌道がズレていたので、急所に当たらないような体勢の意味はなかった。
ゲートからタラソフォビアが現れ、ファエルを殺そうと殴りかかる。香は足に魔力を込めてファエルを遠く、王城の方向へ投げ飛ばした。そして香は拳で空気を殴りながらタラソフォビアに猛接近する。
「ブラ゛ァ゛ァ゛アア゛ッ!!潰れやがれェェ゛ッ!!」
数発当たる。が、タラソフォビアは少しも怯まず言った。
「私はサイボーグだ」
タラソフォビアは香の腕を殴り腕をシビらせる。香の腹を殴り香を海の方へ飛ばす。香は戦闘体勢を整える前に海へ叩き落とされた。勢いよく波が起こる。香は沈み沈み沈んでいった。
「あとはファエルだけだな。幹部の恥晒し。ボスを裏切るとは愚か者め。」
ファエルは空を飛んでいる。ついに因果を扱えるようになり空間を尖らせ伸ばしているからだ。
「お互い助けないって言ったのにぃ。約束を破るなんてぇ。私が、死ぬべきだったのにぃ」
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「いい朝ですね。って香さんいないんですか?まだ寝てると思ったのにおかしいですね。意外と早起きなんでしょうか。ギルドに先に行ってるっぽいし私は朝ご飯でも食べましょうかね。」
リリスはホテルの外に出た。そして店に着き良い顔でオレンジジュースを注文した。
「早すぎてびっくりです。まだ空も少し赤いのに…って雨が降り始めましたか。これは早くギルドで香さんをイジるために行かないとですね」
オレンジジュースが届く。
「おいしい!やっぱり早朝のオレンジは最高です!!」




