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さらなる発見、そしてシームルグの力

 一行がたどり着いたのは、広大な円形空間だった。


 壁面には無数の術式刻印。

 中央には巨大な制御盤。

 まるで古代文明の管制室だった。


「これじゃ……」


 バルトルトが目を見開く。

 パワードスーツから降りて、震える手で壁面の紋様をなぞった。


「ドワーフ族の言い伝えにあった」


 一呼吸。


「ゼオガンダル山脈の風の結界制御装置じゃ」


「ほほう」

「なるほど」


 研究者三名の目が同時に輝いた。


 ジュリアは嫌な予感がした。

 こうなった時の研究者は長い。

 非常に長い。


「まず術式構造を解析しましょう」

「いや、魔力流路の確認が先じゃ」

「並行して行えば良いのでは?」


 早速始まる研究会議。

 もう誰にも止められない。

 少なくとも、しばらく戦闘にはならないだろう。


 ミシュリーヌとジェラルドも、肩をすくめて「どうすんのこれ?」と言った感じだ。


 その時だった。


 ジリリリリリリリン!!


 ジュリアの腰の通信機が鳴り響く。


 洞窟内に響き渡るほどの大音量だった。


 全員の視線がジュリアへ向く。


『ジュリア様。緊急連絡です』


 聞こえてきたのはギルベルト・ノイエンブルク新連邦辺境伯の声だった。

 だが。

 珍しく緊張している。


「何事ですか?」


『まだ此方も状況を把握しきれていないのですが……』


 そこで言葉が止まった。


『古龍の老白竜ゴルズ=ヴィム様と行動を共にしていたセシリア様より報告がありました』

「セシリアが?」


 ジュリアが眉をひそめる。そもそも古龍達と行動を共にしていた、というのも初耳だった。


「それで?」


『先の戦闘跡地だった東の大平原が――』

 ギルベルトは、通信機の向こうで一度言葉を止めた。


『……急速に繁茂し、森林となったとのことです』


 絞り出されたギルベルトの言葉に、その場が沈黙する。


「……は?」


 ジュリアの思考が停止した。

 数秒。

 本気で意味が分からなかった。


「もう一度お願いします」

『東の大平原が森になりました』


「意味が分かりません」

『俺もよく分かりません』


 即答だった。


『エンギュロイ森林国のキャスラン殿によれば、現地を確認したケンタウロス達も同様の現象を目撃したとのこと』


 ジュリアは無言になる。


『戦後から数週間しか経過していないにもかかわらず、平原一帯が森林へと変化したとのことです』


 あのアトネータイとの決戦地。


 古龍やハーピーやガルーダ達が暴れ、魔族軍が暴れ。

 草原は焦げ付き地面は抉れ、焦土と化していた場所。


 それが、森に?

 嫌な予感しかしなかった。むしろ心当たりがありすぎた。


「ちなみに」


 嫌々ながら訊く。


「その森の中心には何が?」


『例の、巨大な鳥がいるそうです』


 やっぱり。

 ジュリアは額を押さえた。

 セシリアと神鳥シームルグ。

 その組合せに、ろくな予感がしない。


「分かりました。こちらも切りの良いタイミングでした」


 深いため息を吐く。


「一旦、帰還します」


 ジュリアは帰還のための転移術式を展開した。

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