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対古代ゴーレム

 老ドワーフ、バルトルトの操るパワードスーツの魔導エンジンが唸る。


「征くぞ!!」


 四基の浮遊砲台が展開。

 背面の六枚の魔力翼が眩く輝いた。

 巨体が、ふわりと宙へ浮かび上がる。


「先手必勝!!魔導砲――斉射ッ!!」


 バルトルトが操作盤のスイッチを操作する。

 瞬間、肩部魔導砲と浮遊砲台の砲腔が青白く光る。


 そして、轟音。

 放たれた光条が、洞窟内を白く染め上げた。


 振動。

 岩肌が震える。

 天井からパラパラと落ちる小石。


 ゴーレムの姿が煙の向こうへ消えた。


「やったか!?」


 バルトルトが叫ぶ。


 数秒。誰もが固唾をのんで煙の先を見つめる。


 やがて土煙が晴れた。


 そこには――


 無傷のゴーレム。

 表面に焦げ跡一つない。


 そして、ゆっくりと。


 初めて、その巨体が動いた。


 重々しい一歩。

 洞窟全体が震える。


 沈黙。


「なあ、あれ、大丈夫なのか?」

 ジェラルドがぽつりと呟いた。


「冒険者の方々もいますし、リィン・オメガもいます。まずは様子を見ましょう」

「まあ、そうだな」


「そうだ。とりあえずお弁当食べようよ」

 ミシュリーヌが、リィンの持つバスケットを指差した。


「本当にここで食べるのですか?」

 リィンはゴーレムと戦うバルトルト達を見ながら言う。


「お腹空いちゃったのよ」

 ミシュリーヌはそう言いながらバスケットを開く。

 中には色とりどりのサンドウィッチが綺麗に並んでいた。


「美味しそうですね」

 ジュリアも素直に頷く。

「頂きましょう」


 するとミシュリーヌが当然のように隣へ寄りかかってきた。

「ジュリア、はい。あーん」

「……一人で食べられますが?」

「夫婦なんだからこうやるのは作法なの! あーん」

「本当ですか?」

 首を傾げながらも、ジュリアは差し出されたサンドウィッチを口にした。


「どう?」

「普通に美味しいですね」

「でしょ?」

 満足げに胸を張るミシュリーヌ。


「俺、その肉の挟まってるやつがいい」

 ジェラルドが横から口を挟む。

「どうぞ」

 ジュリアは何の疑問も抱かず、一つ摘み上げて差し出した。

 ジェラルドがそのまま咥える。

「うめえ」

「あああああ!!」

 ミシュリーヌが指を差しながら絶叫した。


「なんですか?」

「なんでジェドにやるのよ!」

「欲しいと言ったので」

「そうじゃなくて!」

「何が違うんです?」

「そこから説明しないと駄目なの!?」

 ジュリアは本気で分かっていない顔だった。


 その背後で――


 ドォォォォォン!!


 バルトルトの魔導砲の轟音が再度洞窟を揺らした。


『蒼穹の道標』の斥候レオンが、襲い来るゴーレムの踏みつけを紙一重で回避する。


「うおおおおお!?」

 巨大な足が地面を砕いた。


「レオン、避けろ!」

 リーダーのクライヴが盾を構え、前へ飛び出す。

 衝撃波が全身を叩く。

「ぐっ……!」


「リーダー! 押さえてください!」

 後方から女性魔導士ミレーヌが叫ぶ。


「撃ちます――〈青炎槍〉!!」

 蒼い炎の槍が一直線に走る。


 ドゴォォォォン!!


 ゴーレムの右腕が爆散した。


「よし!」

「効いてるぞ!」

「右手首が飛んだ!」

 冒険者たちの表情に希望が宿る。


「この卵のサンドも美味しいですね」

 リィンが感想を述べる。


「でしょ?」

 ミシュリーヌが得意げに頷いた。作ったのは侍女だったが。


 ズドォォォン。

 その間にも洞窟の振動で砂や小石が降って来るが、ミシュリーヌの不可視のバリアが寄せ付けない。


「私にも下さい」

 ジュリアが手を伸ばす。

「はいはい」

 ミシュリーヌが一つ渡す。

「ありがとうございます」

 もぐもぐ。



「セレス!支援術式を!」

「はい!」

 聖職者セレスが身体強化術式を展開する。冒険者達の体がカッと淡く光を帯びる。その展開速度は見るものが見れば一流の冒険者だと分かる。


 その最中。

 ふとセレスの視界の端に何かが映った。


 後方。

 安全圏。

 サンドウィッチを囲む四人。

 楽しそうだった。


「……」


 セレスは数秒だけ思考を停止した。


「どうしてこの状況でピクニックをしているんでしょうか?」

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