12ー2
二度と戻れなくなるよ。
その言葉は僕がためらうには十分な一言だった。
「家になんか帰ってみなよ。上にはバレてるから監視付きの生活を送ることになるでしょ?」
当たり前でしょと言うように当然の顔でセレナは言った。帰ったら帰ったで監視がつくのかよ。
僕は陽希を見る。母さんと父さん、そして律ちゃんの顔が浮かぶ。ついていきたいのは山々だが即答でできるかよこんなの!この状況をどこか甘く見ていた自分を殴ってやりたい。
「で、マル。どうするの?」
浅草はセレナを睨んだ。
「このまま二人の記憶を消してここに置いていくか、私達の基地に連れて行くか。…置いていくなら彼らは本人無自覚の状態で監視がつく。つまりマルの人質になる。…人質としての価値が無いのならそれでもいいけど?」
サラッと怖いことを言うセレナ。
「僕、基地に行きッ!?」
僕は基地に行きたいと言い出しかけた陽希の口を急いで塞いだ。お前、今日みんながどれだけ心配したかわかってないだろ。
突拍子もないことを言いかけた陽希に対して浅草は驚いた顔をしてこっちを見た。口を塞いだまま暴れる陽希を見て急に吹き出す。浅草は僕と目が合うと困ったように微笑んだ。
そして、ポツリと言った。
「そんなの決められないよ。」
とても悲しそうで泣きそうな顔だった。
「やっぱりマル、あなたはここ数年で情がかなり深くなった。そんなのでどうすんの?『守りたいけど巻き込みたくない』そんなものいつかバレてしてまうじゃない。」
セレナはハァと呆れてため息をついた。返せる言葉がないのか浅草は俯いて黙っていた。
これはつんでるという状況かもしれない。僕が基地に行くよと言い出せたらいいのかもしれないけど、軽はずみでそんなこと言い出せるほど強くもないし、バカでもない。
「あなたの考え次第で私は完全に味方につくつもりだったのよ。」
セレナはそう言うと後ろを向いた。
後ろからはいつの間にわいてでてきたのか何匹か人では無いものがいた。
「でも、タイムアップ。もう本部が嗅ぎつけたみたい。」
カチャッと音を立てて馬鹿でかいガストーチのようなものを掲げている。水鉄砲のような鉄砲とは大違いなほどに怖い。
「マル、私はあなたが好きよ?でも、マルにとってこの星で使命も何もかも忘れてのびのびと生たほうがマルにとっていいことだと思うの。」
浅草は納得できないと睨んでいた。でも、声には出さなかった。決断ができなかったことからはっきりと言い返せないんだろう。
「マル=ベルベット、あなたを聖地へと連行します。」
はっきりと響いた声とともに浅草は最後の悪足掻きをするように銃を掲げた。水鉄砲のような可愛らしい銃はあっけなく弾き飛ばされた。
「っ!?」
あれ、陽希は!?
今までこの状況に気を取られすぎて陽希がいなくなっていることに全く気づかなかった。あたりを見渡す…がいない!あいつどこいったんだよ!
今まさに浅草が連れて行かれようとしている。
僕は陽希を探すのを諦め浅草のもとへと走った。
後ろで俺向けて銃が掲げられていることを知らずに。




