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はるか傍らの少女  作者: つづら日和
第二章 転校生
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11.記憶

 マル…。えっ今なんて…?


 浅草と丸山さんは見つめ合っていた。

 重くて吐き気がしそうな沈黙が立ちこめる中、僕は頭の中で考えた。

 『マル』…その名前は今の僕には一つしか思い浮かばない。

 10年前のあの日あった宇宙人。そして、先日僕らを助けてくれたモノだ。でも、あの時マルは僕と陽希を勘違いしてて…あれは…演技だったのか?

 でも、なんで? 

 だって百笑はずっと側にいて、なのに、いや、だって…


「なぁ百笑、どういうことだよ?」 

 僕は百笑の方を向いた。

 しかし、百笑は答えない。

 代わりに、という感じで丸山さんが電柱の影から進みでて答えた。

 

「どういう事もないでよ、佐竹くん。浅草さんはずっと佐竹くんのことを騙してたんだよ。」

 笑顔で進み出る彼女の言葉が木霊する。

「…騙す…僕を、。」

「そうだよ。騙してたんだよ。」

 丸山さんは念を押すようにもう一度言った。

 

 百笑はずっと押し黙っている。

 騙していた、それは本当のことだったんだろう。


「ねぇ、佐竹くんは『あるモノ』を持ってるよね?私にくれないかな?」

 そう言って差し出してきたては、何かを求めている。

 あるモノ…あぁあの石か。

「ダメっ!」

 百笑の叫ぶ声が後ろから聞こえる。

 だけど、その声はどこか遠くの声のように聞こえた。


「この石は大事なものなの。だけどマルに盗まれちゃって。返してくれるよね?」 

 丸山さんは笑顔で上目遣いで言った。

 やけに声がはっきりと聞こえる。

 百笑はこの石を使って何をしたかったんだろう?

 この石は大事なものなんじゃないだろうか?


 そんな心を読み取ったのか丸山さんは「私ね、昔マルに騙されてたんだ。」と言った。

 その言葉が何故か深く響く。

「あの時の私はマルが友達だと思ってたから今の君みたいに迷ったんだ…何か事情があるんじゃないかって…でも、それは間違いだよ。」

 今は普通に喋ってる筈なのに、頭の中で声が響く。

 木霊する。なんだか、景色までぼんやりと感じる。


 そして、人呼吸おいて丸山さんは言った。

「マルは君の事をなんとも思っていないんだから。」と。


 その言葉で僕の頭は一瞬で冴えた。

 頭の中には百笑と過ごしていた景色で埋め尽くされていく。

 

 あれがすべて嘘?演技?

 

「違う。」

 僕は丸山さんを睨んでいた。

 いつの間にポケットに突っ込んまれた手が石を持っている。

 

 何やってんだろ。

 

 僕はそっと掴んでいた手を離した。

 確証なんてない。

 だけど、僕や陽希達に向ける笑顔や心配した百笑の表情は嘘ではない。

 だって、


「いつか話すね。」

 僕のそのつぶやきに百笑がビクッと体を震わせた。

「そう、百笑は言ったからいつか自分から話してくれるんだって僕は信じる。」

 僕が百笑に笑いかけると、百笑は驚いた顔をしていた。

 なんだか、その顔はこんな状況にもかかわらず笑えてくる。


「どうやったら…ここまで信じられるのかな。」

 そう言うと丸山さんは「もうちょっとだったのに」とつぶやいた。

「記憶なんて曖昧なもの、それらすべてが嘘かもしれない。」

 吐き捨てるようにぼそっとそうつぶやくのが聞こえた。彼女の右手にはスマホが握られてる。

 そして、

「っ!」

 僕の目の前に標示された画面には手錠をかけられた陽希がいた。


「手荒な真似はしたくなかったけど、元からあなたには拒否権はないのよ。」

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