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ゴミ箱に転生した俺、世界を食って最強になる  作者: haruz
第6章:崩れゆく世界の理
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第36話:触れられる側の意志

干渉には、必ず向きがある。

触れる者と、触れられる者。

だがその関係は、絶対ではない。

触れられる側にも、意志があるとしたら。

それは、ただ受けるだけの存在ではない。

その時、初めて“対話”が始まる。

静かな時間は終わった。

だが、その余韻は完全には消えていない。

歩き出してからも、アッシュの中には“あちら側”の感覚が残っていた。

位置が曖昧になる瞬間。

自分という輪郭が、少しだけぼやける感覚。

「……来てるな」

ゼルが前を見たまま言う。

アッシュは軽く息を吐く。

「分かる」

さっきまでとは違う。

空間の歪みじゃない。

もっと“直接的な何か”。

リナが不安そうに周囲を見る。

「また……あれですか……?」

ゼルは首を振る。

「違う」

短い否定。

「これは“反応”だ」

その言葉が落ちた瞬間――

空間が“揺れた”。

今までの歪みとは違う。

押されるでも、削られるでもない。

“見られる”。

その感覚。

「……気持ち悪ぃな」

アッシュは顔をしかめる。

視線のようなものが、全身をなぞる。

内側まで覗かれているような感覚。

リナが肩をすくめる。

「これ……見られてるんですか……?」

ゼルは答える。

「そうだ」

一切の迷いなく。

「観測されている」

沈黙。

その言葉の意味が、ゆっくりと広がる。

アッシュは笑う。

「やっと本体ってわけか」

軽い口調。

だが、拳はしっかり握られている。

その時だった。

“それ”が現れる。

だが――

今までとは違う。

形がある。

曖昧ではない。

人型。

だが、人ではない。

輪郭は安定している。

存在もはっきりしている。

“定義されている”。

「……おい」

アッシュが呟く。

「これ、前よりやばいだろ」

ゼルは短く答える。

「ああ」

“それ”が一歩、踏み出す。

空間が歪む。

だが、崩れない。

むしろ――

“整えられる”。

リナが震える声で言う。

「さっきのと……違う……」

ゼルが続ける。

「“向こう側”がこちらに合わせてきている」

その意味。

理解した瞬間、背筋が冷える。

「つまり……」

アッシュが笑う。

「俺らに合わせて、殴れるようにしてきたってことか」

ゼルは否定しない。

“それ”が口を開く。

音ではない。

だが、はっきりと伝わる。

『……干渉……確認……対象……拡張』

リナが一歩下がる。

「しゃ、しゃべった……」

アッシュは前に出る。

「いいじゃねぇか」

拳を構える。

「会話できるなら、話は早い」

ゼルが低く言う。

「気をつけろ」

「これは“意志”だ」

“それ”が動く。

速い。

だが今度は“理解できる速さ”。

アッシュは踏み込む。

“位置を捨てる”。

“触れている状態”を作る。

(いける)

拳を振る。

ズンッ――

当たる。

だが――

“それ”は揺れない。

『……干渉……解析済』

アッシュの目が細くなる。

「……マジかよ」

“それ”が腕を振る。

今度は“削る”ではない。

“押す”。

純粋な干渉。

アッシュは受ける。

「っ!!」

吹き飛ぶ。

地面を滑る。

だがすぐに立ち上がる。

「はっ……!」

笑う。

「いいねぇ……!」

ゼルが呟く。

「学習している」

リナが叫ぶ。

「どうするんですか!?」

アッシュは首を鳴らす。

「簡単だろ」

前を見る。

“それ”を。

「もう一回上いくだけだ」

再び踏み込む。

今度はさらに深く。

“自分”を薄くする。

“位置”を消す。

“触れている状態”を強める。

“それ”が動く。

だが――

今度は違う。

(見える)

動きじゃない。

“意志の流れ”。

どこに干渉しようとしているか。

それが分かる。

「そこか」

一瞬で重なる。

ズドンッ!!!

衝撃。

“それ”が初めて大きく揺れる。

『……誤差……発生』

アッシュは息を吐く。

「当たるじゃねぇか」

ゼルの目が細くなる。

「……踏み込んだな」

リナが小さく呟く。

「すごい……」

だが――

“それ”は止まらない。

むしろ、さらに“整う”。

『……再構築……開始』

空間が震える。

アッシュの表情が変わる。

「……まだ来るか」

ゼルが一歩前に出る。

「ここまでだ」

アッシュが言う。

「いや、まだ――」

「違う」

ゼルの声が強くなる。

「これは“戦闘”じゃない」

一瞬の沈黙。

ゼルは続ける。

「これは“確認”だ」

その言葉の意味。

理解した瞬間――

“それ”の動きが止まる。

『……対象……到達確認』

そして――

消える。

静寂。

リナがその場に崩れる。

「なに……今の……」

アッシュはしばらく動かない。

そして、小さく笑う。

「……試験かよ」

ゼルは頷く。

「ああ」

「お前は“見られた”」

空気が変わる。

アッシュは前を見る。

もう何もない空間。

だが――

確実に“繋がった”。

「……いいじゃねぇか」

拳を握る。

「向こうも本気ってわけだ」

ゼルは一言。

「ここからが本当の敵だ」

ここまでお読みいただきありがとうございます。

今回は“上位存在の意志”との初接触を描き、単なる敵対ではなく“観測・確認”という関係性が提示されました。

主人公はこれまでの延長ではなく、一段階上の干渉に踏み込み始めており、同時に“見られる側”として認識されたことが今後の大きな転機となります。

物語はここから、より明確に「上位存在との対立構造」へと進んでいきます。

引き続きお楽しみいただければ幸いです。

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