表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/55

第11話:どっちでもいい、全部潰すだけだ

群れるやつらは、だいたい似たような顔をしている。

強い方につこうとするやつ。

多い方に乗ろうとするやつ。

でも、どっちにも興味がないやつもいる。

主人公はそういうタイプだ。

選ばれる気も、従う気もない。

ただ、自分のやり方で進むだけ。

「上等だァ!!」

怒鳴り声と同時に、空気が一気に荒れる。

先に動いたのは向こうだった。

三人、いや四人か。一斉に距離を詰めてくる。

(速いな)

でも、見えないほどじゃない。

一人目が真正面から殴りかかってくる。

大振り。力任せ。

「甘い」

体を少しだけずらして、懐に入る。

そのまま腹に一発。

「ぐっ……!」

崩れる。

一人、終わり。

だがすぐに横から剣が来る。

(ちゃんと連携してるな)

腕で受ける――と見せて、下がる。

ギリギリでかわして、そのまま足払い。

「はっ――」

転ばせたところに、踏みつけ。

動かなくなる。

「チッ……!」

残りの連中が顔を歪める。

「やっぱやるじゃねぇか……!」

当たり前だろ。

こっちは“拾ってきた”んだよ。

「まだやるか?」

軽く息を吐きながら言うと、逆に火がついたらしい。

「舐めんなァ!!」

今度は二人同時。

挟むつもりか。

(悪くない)

一歩踏み出す。

間に入る。

タイミングを合わせて――

『廃棄吸収』

足元の石と鉄くずを一瞬で取り込む。

体が軽くなる。

力が乗る。

そのまま左のやつに拳。

右には肘。

「がっ!?」

「ぐっ……!」

同時に崩れる。

あと一人。

一番後ろで様子見てたやつ。

目が完全に変わってる。

(ああ、こいつが一番マシか)

そいつはゆっくり構えた。

雑に突っ込んでくるやつとは違う。

「……いいね」

思わず口に出る。

こういうやつの方が、面白い。

次の瞬間、動いた。

速い。

さっきの連中より一段上。

踏み込みと同時に斬撃。

「――っ」

ギリギリでかわす。

だが浅く当たる。

血が滲む。

(いい動きしてる)

思わず笑いそうになる。

「余裕かよ……!」

そいつが顔を歪める。

「別に」

肩をすくめる。

「ちょっと楽しくなってきただけだ」

その言葉に、周りがざわつく。

そりゃそうだ。

普通はビビる場面だ。

でも――

(これくらいじゃ、もう止まらない)

もう一歩踏み込む。

今度はこっちから。

拳を打つ。

だが弾かれる。

「チッ……!」

すぐにカウンター。

速い。

だが――

「遅い」

ギリギリで避けて、懐に潜る。

そのまま掴む。

「なっ――」

『再構築』

手の中に、簡易的な硬化を作る。

拳に乗せる。

「これで終わり」

そのまま叩き込む。

鈍い音。

体が浮く。

地面に叩きつけられて、動かなくなる。

静かになる。

さっきまでの騒ぎが、嘘みたいに止まる。

「……終わりか」

軽く息を吐く。

周りの視線が痛いくらい集まる。

さっきとは、完全に違う目。

(まあ、そうなるか)

振り返る。

黒外套の男が、少し離れたところで見ていた。

「どうする?」

そいつが聞いてくる。

「来るか?」

少しだけ考える。

でも答えは決まってた。

「行かねぇよ」

即答。

男は少しだけ目を細めた。

「理由は?」

「縛られるの嫌いなんだよ」

それだけ。

本当に、それだけだ。

沈黙が少し流れて――

男は、ふっと笑った。

「……いいな」

それだけ言って、背を向ける。

「気が変わったら来い」

去っていく。

引き止める気はないらしい。

(あっさりしてんな)

でも、嫌いじゃない。

「アッシュさん……」

後ろからリナの声。

振り向くと、ちょっと心配そうな顔してた。

「大丈夫?」

「ああ」

軽く手を振る。

「問題ない」

むしろ――

「ちょうどいい」

周りを見渡す。

視線、視線、視線。

興味、警戒、好奇心。

全部混ざってる。

「これでやりやすくなる」

リナが少し笑う。

「……強いですね、本当に」

「まだまだだろ」

そう言いながらも、少しだけ実感はあった。

ここでもやれる。

この街でも。

「次、どうする?」

「決まってる」

迷わず言う。

「もっと上行く」

強い奴。価値あるもの。

全部拾う。

それだけだ。

「行くぞ」

「はい!」

二人で歩き出す。

ざわめきの中を。

――誰にも縛られず、好きにやる。

それが一番、性に合ってる。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

今回は街の中での衝突と、主人公の立ち位置がはっきりする回になりました。

誰かに拾われるでもなく、どこかに属するでもなく、自分の意思で動く――そのスタンスを強めています。

強さだけじゃなく、「どう動くか」で見られ方が変わってきたのもポイントです。

この街では、戦うことそのものよりも、その結果と姿勢が評価に直結していきます。

少しずつですが、周囲の見る目も変わり始めました。

ただし、それは同時に目をつけられることでもあります。

この先は、さらに上の実力者や、今まで関わってこなかったタイプの人間とも絡んでいく予定です。

主人公がどこまで通用するのか、どんな選択をしていくのかも含めて描いていきます。

引き続き、読んでもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ