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脳内宝塚歌劇 NOELE〜西の京幻想〜  作者: 一の坂 さくら
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第6場 蛍


ザビエル一行は後日身なりを整えて義隆の館を訪れた。南蛮 由来の珍しい品々を携えて。


義隆はこれらの品をたいそう気に入り、ザビエル 一行に滞在の許可と 布教活動を許した。


また 滞在の際の宿泊 、布教活動の場として今は使われていない 大道寺を下賜した。 仮住まいの館から大道寺に引っ越し 、今日は ザビエル一行を歓迎する 宴に出席することになっている。


「身なりは整えたか 」


千鶴は皆を見渡して言う。


「ハイ。 顔モアライマシタ。 」


「千鶴様も今日は 装いが違いますね」


アンジロウが千鶴を見て言う。


「本日は私も父上と一緒に招かれているのです。 」


「なるほど美しい。 ミゲル お前もなんとか言わないか?」ミゲルは顔を赤くして言う。


「チガウヒトミタイネ。 」


「こやつ 照れておるぞ。 」


「チガウ…イヤチガワナイ。」


一同 笑いに包まれる。


千鶴もミゲルの反応にまんざらではない様子。


「それではそろそろ 参ろうか。 」


千鶴の一言で 皆出発する。


義隆の館まで歩いて行く事になった。




一の坂川の水面に提灯の灯りが反射して揺れていた。 川沿いには青々とした桜並木が続き、葉の間を吹き抜ける風がさらさらと音を立てる。


「ここは桜の名所なのです。」


千鶴は小さな川の流れを見ながら言った。


「二代前の殿様が京の都の鴨川に見立てて、この辺りに街を作ったのだとか。」


「春になったら是非訪れたいですな。日本の桜、もう随分見ていない。私の故郷でもそれは見事な桜の木がありました。」アンジロウはどこか遠い目をして見ている。


突然ミゲルが叫ぶ。


「ナニカ、ヒカリがユラユラと…アレハ?」


川辺の草むらで、小さな光がふわりと浮かんだ。


一つ、また一つ。


闇が深くなるにつれ、無数の光がゆっくりと宙を舞い始める。


「ナニカ、ヒカリガ……」


ミゲルが思わず足を止めた。


「蛍、ですね。まだ少し早いけど。ポルトガルにはいないのですか?」


「ハジメテ見ました。何とウツクシイ。」


「ジャポンは、ヤマグチはホントにウツクシイ国ですね。ウツクシイ花が咲き、山は青く、キレイな虫がトブ。」興奮してミゲルは言う。


「日本語も上手くなられましたね。でもキレイな虫って…」千鶴は口元を押さえて笑っている。


そんな千鶴を見てミゲルも笑いかける。


「笑っている、千鶴サマはいいですね。」


「それでは、いつも怒っているようではありませぬか!」


「そ、そうではなくて。」


そんな2人のやり取りを皆が微笑ましく見ていた。

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