第4場 謁見
ザビエル達一行は大内義隆の館へ急ぎ向かった。
館につくと、各国から取り寄せたのであろう珍しい品々が飾ってある部屋に通された。
明などと貿易のあった家臣達ですら、この異国の旅人は珍しかったようで、遠慮なく一行を眺めている。 ザビエル達一行は視線にさらされながら、主の登場を待っていた。
「人の視線とは無遠慮なものだな。」
「これからこのジャポンで布教するにはこの視線にも慣れないと。」
家臣達は、言葉が理解されていないと思いザビエル一行を上から下まで見ながら、それぞれ好き勝手な事を言っている。
「大きいのう…」「あんなのと戦ったらひとたまりもなさそうじゃ」
「髪の色を見ろ?金色に光っちょる。」
「あの黒い着物のやつの頭の形は何じゃ?真ん中に毛がないではないか?そっておるのか?」
アンジロウは家臣達の言葉に、
吹き出しそうになるのを我慢し肩を揺らしている。
「殿が参られます。」
そこに、義隆が入って来た。
「そなたらか?南蛮から来た者達は?」
「はっ、」
ザビエル達は一礼。
義隆は微動だにせず一行を見つめる。
「…」
家臣達も黙る。
義隆
「去ぬれ。」と一言。
アンジロウ
「は?」
義隆、続けて言う。
「帰られよ。謁見はまた後日じゃ。」
ザビエル一行は顔を見合わせ困惑している。
家臣「殿は帰れと申されておる。さっさと出ていかぬか!」
ザビエル達一行が訳も分からず館から出た後
不思議に思った家臣が義隆に訪ねた。
「殿、何故でございますか。彼らは正式な書状も携えておりましたが」
義隆は静かに言う。
「気づかぬか。」
「奴ら、旅の塵をまとったままであった…。
あのような姿で来られては、わしの宝物が傷む。」
「はあ…左様で」
家臣達はそっと顔を見合わた。
館から出された一行は訳も分からず 大庭 清孝の屋敷に戻って来た。
アンジロウが説明すると、清孝は、まじまじと皆を見渡し
「ああ…これは私が悪かった。殿は何より謁見の間にある、外つ国の品々を大事にされていてな…自分が入られる際も着替えをされるほどじゃ。
みればそなた達ホコリまみれな上、長く身体を洗ってもおらぬな。まずは風呂じゃ。身なりを整え、後日改めて南蛮の珍しきものをお持ちするのじゃ」
千鶴はミゲルに向かって「そんな汚い格好で殿に会おうとは。」
アンジロウが通訳する。ミゲルは憤慨して「私は毎日洗っている!」と答える。
千鶴はミゲルを軽く一瞥し「どこがじゃ」といい放つ。
「顔アラウ、マイニチ。」
「顔だけか?」呆れたように言う。
2人のやり取りを皆笑いをこらえて見ている。
「よし、まずは風呂じゃ!」
清孝に促され、一行は風呂場へ急いだ。




