表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳内宝塚歌劇 NOELE〜西の京幻想〜  作者: 一の坂 さくら
PR
14/21

第14場 桜

戦場になった山口の町は、皆の協力もあり、かなり復興が進んでいた。

陶 隆房は陶 晴賢と名を変え、


民の反発を回避するために、義隆の姉の子 大友 晴英を豊後国から新しい当主 大内 義長として迎えていた。


戦後の混乱も落ち着いた、1552年春

大道寺にて。


ミゲルは剣の練習を、アンジロウはあぐらを組んで廊下から様子を見ていた。

千鶴は箒を持ち庭を掃いている。


唐突にミゲルが言った。 


「この山口には美しい花が咲く木があると聞きました。案内してはくれませんか?」

「美しい花をつけた木?ああ…桜のことか。」

アンジロウが答える。

「サクラ…」


「今であれば一の坂ぞいの桜が見ごろだと思うな。…では参りますか?」 千鶴が答える。


「アンジロウ殿はどうされますか?」


「ん〜私は遠慮しておこう。」


ニヤニヤしながらアンジロウは答える。

「…そうですか。ではミゲル殿、参りましょう。」


町を歩きながら2人は無言だった。 時折物珍しそうにミゲルが「あれは?」 と千鶴に尋ねる。  

「前から思ってました、あれは城?」 

「あれは五重塔 」

「五重塔…」

「百年前から建っているらしい。」と千鶴。

「おー!百年。面白い形…。しかも石ではなく

木?木で出来ているのですか?!」


そんなミゲルを見て「まあ、あんなに目をキラキラさせて。南蛮の方から見たら珍しいものばかりなのかしら?」と微笑ましく見ていた。


そうこうするうちに一の坂川の橋の上に来た。


「ここからの景色が私はいっとう好きです。」


両脇に桜が咲き、まるで薄桃色の花の中に浮かんでいるよう。


「…美しい。」 桜の花を仰ぎ見る様子を見て千鶴は思った。


「ミゲル殿の金色の髪がキラキラと光って…なんと美しい。まるでトーレス様に見せていただいた天の使いのミカエル様のよう…」 


桜の花の中に浮かんでいるように見える。


ミゲルが千鶴に向かって微笑みかけた。


その姿にドキっとした千鶴。 


「何じゃ?今の胸の痛みは…?」 


慌てて胸に手をやる千鶴。


桜の花を背に佇む千鶴を見てミゲルは思った。


「なんと美しい…まるでサクラの精のよう。


凛としていて、千鶴殿にぴったりだ…」


その時、一陣の風が吹いてサクラの花びらが舞い散る。


視界を奪われ千鶴がふらついた。


思わず抱き寄せるミゲル。


2人は見つめ合い、すぐに離れる。


「…ありがとう。どうじゃ。桜は?ミゲル殿の国にはないのですか?」


「私の国にはありません。桜…美しい。」


ミゲルは少し考える。


「でも千鶴様の方が美しいと思います。」 ミゲルは素直に伝える。


「…なっ?!」


「南蛮の男とは女子にそのような言葉を、いつも言うのか?」


半ば怒ったように言う千鶴


「イツモ?」


ミゲルは何故怒られているのかわからない。 「…帰ります!」 


踵を返して屋敷にかえる千鶴の後を追うミゲル。




早足で屋敷に戻って来た2人を見て


「おやおや、桜見物は楽しかったようだな。」と声をかける。


「楽しくなどない。」赤い顔で千鶴が言う。


「楽しかったです。美しかった。」



慌てて本堂にあがる千鶴。



ミゲルは「わけがわからない」と言う顔をしてアンジロウを見る。




その様子にアンジロウは楽しそうに笑う。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ