奈央子とユージのデート
私は、美人というよりキュート。
身長は168センチ、スレンダー体型。
身長が高いことが正直コンプレックスになっている。
アキラが高校3年生の春のこと。
ある日、家に来て、アキラとユージが身長の話をしていた。
そして、壁にもたれての背比べが始まった。
すると、おばさんこっちこっちとユージが手招きをする。
奈央子
「嫌よ、ゆうちゃんより大きかったら恥ずかしい。」
ユージ
「ジャンケンで3連敗したらこっち来て。もし3連敗しなければお風呂掃除する。」
奈央子
「え?ほんと?助かるわ。その勝負受ける。」
圧倒的に私が有利な条件だが、まさかの3連敗。
奈央子
「もー、やだわ。恥ずかしい。」
ユージ
「あのね、かかとを壁につけて。次におしりを壁につけて。肩を壁につけて。頭の後ろも。」
と言ったときに、ユージの顔が目の前にあった。
ユージは、毎朝、通学路前のジムに通い、筋トレで鍛えているが、このようなストレッチも取り入れている。
ユージは、壁につくように頭の次に肩を抑えた。
ユージ
「そうそう、かかと、おしり、肩、あたま全部壁に付けて。」
簡単なように見えるが、意外とこの姿勢をキープするのはきつい。
奈央子
「なに、これ?」
ユージ
「姿勢がよくなるんだよ。」
裏を返せば、私の姿勢が悪いということ。
ユージ
「おばさん、足が長いし、背も高い。スタイルがいいから、もったいない。これ、毎日やったら姿勢よくなるよ。」
奈央子
なぜか、ユージの前だと素直になれる。「うん。」
ユージが嬉しそうに頷いた。
ユージはびしょ濡れになりながら、風呂を掃除して帰った。
奈央子はその壁を無意識に見ていた。
教えてもらった姿勢を毎日やってみようかな。
それから1週間ほど経った日、
奈央子の家のテレビが壊れた。
ちょうど、川伊家がテレビを買い替えのため、前のテレビを譲り受けることになった。
ユージの母・美香、ユージ、奈央子、アキラがいる。
「大きくて見やすいわね。」
何かと厳しいシングルマザーの生活。
奈央子は川伊家の変わらない友情に感謝した。
「ありがとう、美香さん。何かお礼を。」
「いいのよ。逆に古いテレビをどうしようかと思っていたので、よかったのよ。」
「いつも申し訳なくて。」
「あ、じゃあ、今度ユージがストッキング買うって言ってたから、一緒に行ってほしいの。ユージも喜ぶわ。アキラ君もいくでしょ?」
「え?もう買ったもん。かあさんとユージ二人で行きなよ。」
「うん、いいよ。おばさん。二人で行こうよ。」
え?ユージと?もちろん、
「ええ。いいわ!」
今日、ユージと奈央子は、ショッピングモールのウオン小高へストッキングを買いに行く日。
奈央子は、服をえらんでいた。
「アキラ、このワンピースと黒のニットどちらがいいかしら?」
アキラはライトカラーのさわやかなワンピースもいいなと思ったが、
「黒いほうが似合うと思うよ。」と答えた。
奈央子は、黒のサマーニットに白いタイトパンツを上品に着こなした。
168センチのシュッとした長身、
窓からの光を受け、ほんのり茶に見えるショートカット。
派手さはないが、整って見える控えめな化粧。
「ああ、似合ってる。」
待ち合わせの15分前、
「おばさーん、遅くなってすみませーん」
と、ユージが来た。
ユージは、黒のポロシャツに、ベージュのテーパードパンツ、スタンスミスの白いスニーカーを履いていた。
筋トレで身体がシンプルな服を引き立てる。
「待ってないわよ。来たばかりだから。」
「おばさん、かっこいい。そんなに厚いサンダル履いたら、ぼくより背が高くならない?」
奈央子は厚底の黒いサンダルを履いてきた。それが白いタイトパンツによく似合う。
「私のスタイルが良く見えるから、いいのよ。ユージ君が隣にいるし、引き立つわ。」
2人は並んで歩いた。
目の高さは同じ。
横を向くと目が合う。
「おばさん、服に合うね。」
「ユージ君もかわいいわよ。」
「えー、かっこいいって言ってほしいな。」
「あらー、かわいいは誉め言葉なのよ。」
少し沈黙し、ユージが、
「おばさんは再婚しないの?ぼくは、まだまだ若いけど、おばさん、早くしないとほんとのおばさんになっちゃうよ」
ユージを見て、ぷっーと思い切り吹き出し笑いだす奈央子。
少し先を歩くユージの袖を掴んだ。
振り返るユージ。
振り返ると奈央子の目と唇が、目の前にあった。
奈央子の目の前にもユージの顔がある。
目が合う。
二人のデートはどうなるのか?




