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第118話 水月 透

この話以降、ベレッタ・B・コルニクス様の「三本の矢」との世界観共有が行われております。ですがお互いの世界観の改変は行っておらず、設定等に変更はありません。

これからも櫻倉並び「対X作戦」をよろしくお願いします。

※「三本の矢」は別サイトにて投稿されています。

 「……そうだな。事情は後で聞かせてもらう」

 アーコレードはセイ達を睨んだまま吐き捨てたようにそう言い放った。


 「全く……一人来たと思ったら続けて四人だと……」

 「その言い方、もしや私達以外にもここに人間が?」

 セイがアーコレードに尋ねると、

 「ああ。嘆かわしい事にな。

 ……ちょうどいい、奴も協力させよう。連れてこい」

 「は!」

 そう言って、アーコレードの部下は、奥の部屋へ走っていった。



 数分後、

 「なんだよ急に…引っ張るな、歩くって……ん? 誰だ?アンタら…人間か?」

 そうして連れられてきたのは、碧の瞳、灰色の髪を持った若い人間の男だった。

 「こいつは……」

 「俺は水月 透(みなづき とおる)、歴史学者だ。以後よろしく頼む」


 アルカはその男の存在に驚いた。この次元への入り方を知っているのは、自分を含めても十人に満たないはずだからだ。

 「驚いたわね……私達以外にここに人間がいるなんて……

 アーコレードさん、私達は彼と協力して、外の武装集団をどうにかすればいいの?」

 「ああ。まさかこの聖域に無断で侵入しておいて、何の協力もせず帰るなどという愚行はするまいな?」


 セイは一歩前へ出る。

 「話を聞く限り、奴らはリベルである可能性が高い。もしそうなら、奴らは私の標的だ。存分にこの力を振るわせていただきたい」

 「……がっかりさせるでないぞ」

 その言葉は、期待など端からしていないかのような言い方だった。



 そしてアーコレードが睨む中、ネモフィラと水月透による情報確認と作戦会議が始まった。

 「まず、相手が本当にリベルなのか確かめたいところだが……一人だけでも捕まえる事はできないかい?」

 セイが見渡して尋ねる。すると、

 「一人でいいんだな?」

 そう言って、ラレムは空間を裂いて、一人の黒ずくめの男を引っ張り出した。監視役だったのか、武器は持っていないようだった。

 「何をしている! ここは世界樹の聖域だと何回言えば……!」

 アーコレードはラレムに怒鳴ったが、ラレムは冷静に返す。

 「武器を持っていない、比較的安全なやつにした。

 さあ、答えろ。お前達は何だ? 何が目的だ」


 すると黒ずくめの男は自らラレムが持つ大鎌の刃へと跳び込んだ。そして血を流しながらこう叫んだ。

 「我々に協力せよ!! さもなくば、【記憶】にひれ伏す事になる!!」


 「……やっぱり」

 「?」

 アリスとアルカ、そして水月は、状況が呑み込めていないようだった。

 「今の文言は、今リベルが各次元で叫んでいるものと一致している」

 「「!?」」

 ラレムは、【記憶】の単語で、大体の事情を悟ったようだ。そして透が手を挙げる。そしてその口から飛び出した疑問は、セイ達を驚かせた。


 「ちょっと待て…リベルってのはなんだ?今まで見たことも聞いたことないが…」


 ラレムも大きく目を見開いて驚いた様子だった。

 「現代ではリベルは聞いた事がない人間はいない程の有名な組織ではないのか……?」

 「そのはずだよ……少なくとも、ここを除いた主要次元では。

 君は一体、どこから来たというんだい……?」

 セイも、透の正体についての疑問が大きくなっていく。


 「ははは…自分でもよくわからん…」

 セイはひとまず透にリベルについて説明した。


 「じゃあ、ざっくりでいいからそれぞれのスキルか戦闘スタイルを教えてくれるかい」

 アリスが手を挙げた。

 「私はこの刀での戦闘が主です。対象の性質を無視して斬ったり、身体強化して戦う事が多いですね。遠距離攻撃は苦手ですが、近距離なら基本どんな状況にも対応できます」

 「じゃあ次は私ね?

 うーん……ま、基本どんな状況にも対応できるわ」

 ラレムはセイ、アリス、アルカの三人に見つめられ、自身を指さした。

 「アルカのは……今のでいいのか?

 なら俺も大体同じだ。基本は大鎌での戦闘だ」


 「私は、自身に凶暴な存在を宿して戦う。自我がなくなるから、味方にも攻撃するリスクがあるから、基本この戦い方はしないつもりだよ。

 だからここに魔術を学びに来たんだ」

 そしてセイは「君の番だよ」と言わんばかりに、透に目を向けた。

 「…俺もか? 俺の戦闘スタイルは肉体攻撃が基本だ。他には魔力を圧縮してブラックホール作ったり、固有スキル[魔力掌握(マナ・マスター)]で自分の魔力範囲内のものであれば自由に支配できるかな。魔力範囲は…まぁ最大で都市一つ分くらいかね…」


 「話を聞く限り、君は相当な実力者のようだ……あいにく私は力を失っているから、頼りにしてるよ」

 セイはひとまず透を信用することにした。

 「アーコレードさん?

 確か今は世界樹大結界が乗っ取られて、解除もできないんですよね?」

 「……ああ」

 「なら、結界を内側から破って出るしかないね。そしたらすぐにストラシアと連絡を取ろう。この結界内では船と連絡が取れないようだ」

 そう言って、セイは携帯の上端に書かれた”圏外”の文字を見つめた。

 「そしてその後すぐ、奴らへの攻撃を開始しよう。透、戦場全体に魔力が満ちるにはどれくらいかかる?」


 「まぁだいたい30秒前後だな」

 「ならそれまでの時間をアリスとアルカ、そしてラレムで稼いでくれるかい? その間に私はストラシアと連絡を取る」

 アリスとアルカ、ラレムは頷いた。

 「んじゃ、俺は戦場を魔力で覆うだけでいいのか?」

 「ああ。それで頼む」



 そして五人は、世界樹大結界の端に並んだ。この時五人は知らなかった。この戦いがリベルとの最後の決着の場であることを、そしてその後訪れる大災厄の事を。

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