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第117話 ポラ・メモリア包囲網

 ネモフィラに連れられ、巨木の中の通路を進んでいくと、扉が現れた。

 「ここよ。私はオルレアに口止めするのを忘れてしまったから一旦戻るわね。もし他の皆にバレても私の能力を知っている人なら分かってくれるはず……

 でも、物を壊したりはしないで。ここにあるのはどれも貴重な物だから」


 「分かったよ」

 「ええ。ありがとう」

 そう言うとネモフィラは先の場所へ走っていった。セイが振り返ると、ラレムは既に術式が書かれた本の一つを広げ、目を通していた。

 「……どんな術式が載っているんだい?」

 セイが尋ねると、ラレムは少しページをめくった後、

 「基本的な[火球]や[圧水射]……他の術式は見たことがないものがほとんどだな。二万年も経てば、基礎以外の魔術は淘汰されたか。

 万が一追い出される事に備え、早めになるべく多くの術式を覚えるんだ。これは後ろ二十ページの術式以外は難しいものではない。適正があればすぐ覚えられるはずだ」


 ラレムはセイにその本を手渡した。それを覗くと、

 「……」

 (なんだ……? 術式を読み始めた途端、この発動条件、効果、有効距離、概要、歴史……情報がどんどん飛び込んでくる……

 いや、条件や効果を表したものが術式だから当然ではあるけど……にしてもスムーズすぎる……)

 そしてセイは気付く。

 「あれ、これで終わり?」

 セイはいつの間にか、ラレムが難しいと言った後ろ二十ページの術式を読み、理解できていたのだ。

 そしてセイは驚くべきスピードでそれを読み終わった。ラレムは引いている。

 「たしかに、ここに書かれている術式は難しくなかったね。けどその分、あまり強そうなものはなかった。もう少しレベルの高いものはありそうかな……?」


 こうしてセイは術式を読み漁っていった。一方議会……


 「ネモフィラ! お前は一体なんてことを!」

 オルレアを追ったネモフィラは、一人のエルフに足止めされていた。そのエルフは既にオルレアから話を聞いた様子で、ネモフィラに詰め寄る。

 「お、お父様……私の、

 私の勘が、言っていたのです! 彼らに協力しなければ……ここが、火の海になると」


 「……」

 ネモフィラの父は、黙るしかなかった。世界樹の一族の未来視の能力、この強度には個人差があったが、ネモフィラのそれは、()()()()()()()()()()()()()()()からだ。

 「しかしなぜ……あの人間達は私達エルフとは何の関わりもないはずだ」


 その時、ポラ・メモリア全域で爆発音と共に大きな揺れが起こった。

 「な、なんだ!」

 警備兵がポラ・メモリアの入り口に駆け付けると、()()()()()()()()()()()()()。ポラ・メモリア唯一の出入り口である結界の緩い箇所が、硬く閉ざされたのである。

 「報告です! ポラ・メモリアの門が閉ざされました!」

 「報告です! アマリリス様によりますと、世界樹大結界の操作権限が奪われたそうです! また、その外側に多数の人間の姿を確認!

 武装しており、こちらへ攻撃してくる可能性が高いとのこと!」


 「なんだと!?

 ……ダメだ。私には何も見えない……

 ネモフィラ、お前はどうだ」

 「私も……

 彼らと合流して何とかしていただくのどうでしょう。彼らは世界樹大結界を自力で突破した実力者達です」


 「しかし……」

 「お父様!」

 「アーコレード様、ご判断を……!」

 ネモフィラの父、エルフの長、アーコレードは迷っていた。今までエルフは、気高き世界樹の民として、人間はもちろん獣人、ドワーフなど他種族との関わりを捨てていたからだ。

 「一度その人間達をここへ連れてこい。それから判断する。魔術師団は結界周辺で戦闘準備だ」


 「了解!」

 するとアーコレードはネモフィラに視線を向ける。

 「……どこにいるかは分かっているんだな?」

 「はい!」

 そう言ってネモフィラは保管庫へ走った。ネモフィラが保管庫に着くと、セイは既に十冊近くの本を読み終えていた。

 「は、早いね……じゃなくて!

 ついて来てくれない?! 私のお父様、エルフの長老であるアーコレード様に会ってほしいの……」

 ネモフィラの慌てように、セイも少し緊迫感を覚えた。

 「何か、あったのかい?」

 ネモフィラは汗を流しながら頷く。

 「分かった。行こう。歩きながらでいいから状況を聞いても?」



 「先ほど、あなた達が自力で突破した、世界樹大結界の主導権が奪われたの。そしてその外側には、多数の武装した人間がいたみたい。そう思いたくはないけど、あなた達の仲間?」

 「いや、確かに私達には武装可能な仲間が多くいる。が、ポラ・メモリアに近づかないよう言ってある。可能性があるとするなら……」


 ラレムが口を開ける。

 「リベルだな」

 「ああ。ここ第六次元は、主要次元の中で唯一リベルについて詳細の調査が行えていない次元だ。仮にここにリベルの本拠地があったとて不思議じゃない」

 するとネモフィラがセイ達に尋ねた。

 「その……リベル、って?」

 「神への反逆を行うテロ組織だよ。奴らは神を標的としているけど、人間を襲う事の方が多い。もちろん、そこにはエルフやドワーフ、獣人も含むはずだ」


 そう話している内に、アーコレードがいる議会に着いた。

 「お前たちか。この聖域に土足で踏み入った……」

 「お父様!!」

 アーコレードがセイ達に詰め寄ろうとすると、ネモフィラは大声でそれを止めた。

 「今はそのような状況ではないのでしょう!?」

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