表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/122

第115話 我々に協力せよ

 「ポラ・メモリア……か。獣人が言ってたね。あそこは昔からエルフが住まう土地だと聞いた事があるよ」

 セイは獣人がラレムの事を「ポラ・メモリアの耳長か」と言っていた事を思い出した。

 「ええ。ポラ・メモリアは世界樹の根本に家々を作って生活しているの。私は行ったことないんだけど……

 ポラ・メモリアでは、現代で唯一魔術が一般的なの。逆にスキルやゴッドシステムは殆ど使われていないと聞いてるわ」


 「魔術が一般的……二万年も経ち、世間を見ていた限り、完全にそれはスキルに成り代わっていたと思っていたが、残っていたのか。

 ならちょうどいい。術式を見せてもらえるといいが」


 そう言って一行がポラ・メモリアに向かう事で意見がまとまった直後、誰かの腹が鳴った。セイだ。

 「そういえば魔王達と戦った後、まともに何も食べていなかったな……」

 「……船に戻るか?」

 ラレムはセイに尋ねる。しかしセイを心配しているようには見えなかった。

 「いや、ここで食べていっても……」

 セイは今から船に戻るのは大変だと思っていた。しかし、

 「いえ、戻りましょう?」


 アルカは船に戻りたそうにしているラレムをニヤニヤと見つめた。ユプリムを出て、できるだけ森を避けながら歩いているとき、

 「ユプリムは元々鉱山都市で、それ以外の機能は後から気休め程度に付けられたんだ。あそこの食堂は数が少ない上に人が多い……

 そして……あそこで提供される肉のほとんどは鉱山で見つかったモグラやネズミ肉だ……」

 「あー……」


 「おかえりなさいですわ。目的は果たされましたの?」

 船に着くころには完全に夜空になっていた。ローナが出迎えた時、その手にはフォークが握られていた。船の中の食堂も、かなり賑わっていたのだ。

 「皆さんが出て行ってから、エネルギーの変換は徐々に機能を取り戻し、今は次元間渡航も可能なくらいにはこの環境に順応しましたわ」


 「思ってたより早かったわね! 流石ベルクリア研究所の最高傑作……といったところかしら?

 私たちも食べましょ!」


 そうして、ポラ・メモリアへの出発は明日に決まった。それまで、特にヴェルジェネとの戦闘後の四人は、ゆっくりと休んだ。



 「さ! 行きましょう!」

 アルカは相変わらず信じられない程元気だった。

 「今日は船で行くのかい?

 その方が楽そうだし、何より歩くよりは速い」

 「そうね……でも途中までにしましょ。エルフは警戒心が強いから、こんな巨大な船で世界樹に接近したら襲撃に来たと思われても無理はないわ」



 こうして、船は飛び立った。

 「奴らが動き出しました。おそらく目的地はポラ・メモリアです」

 森の中からストラシアを監視していた黒い影は、船を追いかけるように走り出した。

 「基地に近くはなりますが……まあいいでしょう。こちらの存在がバレないよう追跡を続けてください」

 連絡相手は無線を置くと、不気味な笑みを浮かべた。

 「お久しぶりになるかもしれませんね……セイさん……」



 一方船内……

 「ん?」

 セイは自身の携帯が震えている事に気付いた。取り出すとそこに映っているのはテヌドットの名だった。セイが応答ボタンを押すと、

 「セイ! 今、大丈夫か?!」

 唐突な大声に耳が鳴りながらも、セイはゆっくりと返事をする。

 「ああ。今は……移動中だから、話は聞けるよ」

 「実は、リベルに動きがあったんだ!」

 テヌドットは今までにない程慌てていて、混乱しているようだった。

 「なに?」

 「奴らが、急に各次元に現れて、まるでデモ隊のように、ずっと叫びながら都市を歩き回っているんだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。と……

 しかし一般人への攻撃は行っていないみたいだ。ただ叫びながら歩いているだけのようだが……」


 「また【記憶】か……そうだ、記憶について、あー……ある協力者から、有益な情報を得たんだ」

 「有益な情報?」


 「ああ。【記憶】というのは、二万年前のリベルの異名持ち、【記憶】ヴェルクロットである可能性が高いって」


 テヌドットは勢いよく椅子から立ち上がったのか、ガタン!という音が響いた。

 「二万年前だと?!

 神域戦争よりも前の時代からリベルは存在していたというのか……?」

 「あー……話すと長くなるんだが、たしかにリベルは二万年前から存在していた。しかし、その活動内容は今と全く異なるんだ。

 二万年前は権力や欲に溺れた権力者への反逆を行っていたそうだ。どちらかというと、善の組織だね」


 「それは、信頼できる情報なのか……?」

 セイはラレムについて振り返る。しかしラレムには一つ、二万年前から来たという、証拠があった。()()だ。魔術という概念は限られた一部の人間しか知らない。術式についてはトスコリカで研究されていた[掌握支配]を除き、ポラ・メモリア以外では今は存在しない。

 「少なくとも今は、信じるしかないだろうね。なんたってそれしか情報がないんだ」


 「分かった。できるだけ古い記録を調べてみる。だができれば、セイに各地のリベルの制圧を頼みたいんだが……」

 「それは……難しい話だね。私は今、前まで使っていた[詳細鑑定]以外の全てのスキルを失ってしまったんだ。EX神話級スキルもね」

 「なんだと?!」

 「戦闘は、少し自分にも周りにもリスクがある戦い方しか今はできない。けどもう少し待ってくれ。今ポラ・メモリアに向かってるんだ。


 魔術を習得するためにね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ