二年後の春
あいつがいなくなってから、二度目の春が来た…
私はもう連弾なんてしない。
季節は春…
コンサートの後の楽屋にふっと桜の香りが漂う。
彩音がいなくなってから二度目の春
私は高校二年生になった。
一人で過ごす楽屋にはだいぶなれた。
一人で弾くピアノだって
一人でたつステージだって
なれてきたはずなんだ…
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私と彩音が出会ったのは小学2年の春
あの日も、桜のいいにおいがしてたっけ。
彩音がたまたま私の家の近所にひっこしてきて
転校してきた次の日に、彩音の家からピアノが聞こえたの。
私、ピアノやってる友達なんて全然いなかったから
すぐに仲良くなろうと思ってね
私が小学二年生ながらめっちゃくちゃアピールして友達になれたわけ。
同じピアノ教室にかよって、
そしたら先生が連弾を勧めてくれて、それが私たちのピアノの始まりだなあ
小学3年生の頃だった
でもね!彩音ったらピアノヘッタクソなの!!
ほっそい手でヘロヘロの音しかでなくて
指使いもできてないし…
私との差が歴然で、、
私は高い方。彩音は低い方。
あれ、
彩音って
ピアノ下手だったよね…?
いつから私に追いつけるようになったんだろう
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「奏?かーなーで??」
はっと我にかえる
母の声だ
前にもこんなふうにぼーっとしてる時彩音に注意されちゃったっけ。
「奏?今日の演奏もバッチリだったわ。
あなたかえって連弾やめた方がよかったんじゃない?
ほら、彩音ちゃんあなたよりピアノ上手じゃなかったし…」
「そうだね…」
そう、そうだよ
あんなに息はぴったりでも、私の方が技術も高くて音色も綺麗だったし
そうだよね
連弾やめてかえってよかったんだよ
あんな裏切り者と一緒に弾いたっていい音色なんて生まれないし。
もう連弾なんてしない。
私は一人でステージにたつ。




