アイドルデビューもいろいろおかしい
セブンと自宅に帰った主人公は妹の美月から相談を持ちかけられる
俺が自室からリビングに降りて行くと、美月と母親がテーブルについていた。
テーブル上には角封筒がいくつか置いてある。
「それで、相談って‥?」
俺は椅子に座りながら聞いた。
「あのさ、あ兄ぃって、アイドル、好き?」
おずおずと美月は聞く。
「アイドル‥別に好きでもなければ嫌いでも無いな‥強いて言えば、頑張ってるなぁ、としか」
「だよね‥あ兄ぃはゲームしか興味ないもんね」
「いや、そんな事は無いけど‥」
何だろうか、この失礼な質問は?
「じゃぁ‥私がアイドルに成ったら嬉しい?」
「え?」
「可愛い衣装でステージで歌って‥沢山のファンが応援してくれるってやつ」
美月は手を広げてポーズを取った。
「いや、美月がやりたいなら応援はするけど‥」
「あ兄ぃは特に嬉しくない?」
「うーん、むしろ色々大変そうだなって‥成るのか、美月、アイドルに?」
なるほど、美月へのスカウトが来ていると言ってたな。
その、相談か‥。
美月が本気になったとして、アイドルをやれるかと言えば‥やれると思う。
ルックスも良いし、明るく優しい。
運動神経も良くてダンスだって得意。
むしろ適正としては人一倍だと思う。
「それは、やはり美月の気持ちが大事なんじゃ?」
「それが分からないから聞いてるんだってば」
「迷ってるって事?」
「うん‥やっぱり女の子だから可愛い衣装とかステージって憧れるよ? でもそれって大変な努力や時間の先にある物じゃん。それまで犠牲にしてやりたいかって言われると、自信ない。それに‥」
美月はチラリと俺の方を見た。
「それに?」
「ううん、何でも無い」
美月は珍しく言葉を濁した。
やはり、俺も含めた家族への負担を気にしているんだろう。
俺は少し話題を変えてみることにした。
「その封筒は?」
テーブルに置かれた封筒を見る。
まぁ、予想はついているんだけど。
「美月宛の契約希望の手紙よ。中を見て、マトモそうなのだけ残したわ」
「郵便受けが閉まらない位、入ってたんだよ」
美月は笑いながら言った。
「ほとんどがゴミだったわ‥大体、未成年と契約しようってのに、親に挨拶が無いなんて論外よ」
「確かに」
ウチの母親はいい加減な様で、こういう所は厳しい。
きちんと内容をチェックして選んだのだろう。
机の上に置かれている封筒は、どれも聞いたことのある大手芸能プロダクションのものだった。
察するに業界での美月の評価は相当高いらしい。
その点は、わが妹ながら誇らしかった。
封筒の中を見てみると、まず両親への挨拶文があり、自社の育成プランやセキュリティなどの説明、守秘事項そして契約内容。
どれも手堅くまとめてある。
「うーん、表面的なことだけじゃ分からないな‥芸能界は裏も多いらしいし」
あえて不安そうに言った。
なにせ、3日間、結論を引き延ばさないといけない。
「あ兄ぃは反対?」
「反対と言うか、美月の事が心配なんだ‥やはり人に任せるからには‥」
「そうねぇ」
母親も嘆息した。
余りに違う世界で、直ぐに答えを出せないのは確かだ。
「あのさ、ちょっと詳しい人に聞いてみない?」
俺は提案した。
話を聞いて、ある人物を思い出していた。
「芸能界に詳しい人なんて居るの?」
「まぁ‥参考には成ると思うから、それからでどう?」
「私は良いよ。別に急がないし‥」
「母さんは?」
「聞いてから、で良いわ」
「んじゃ、連絡してみるよ。結果が分かったら教える」
そう言ってリビングを出ようとする俺の手を美月が取った。
「久しぶりにゲームしない? セブンちゃんも一緒に」
「そうだな、セブンに聞いてみるか」
「うん」
リビングを出て自室に戻ろうとすると、
美月は俺の後について、部屋に入って来た。
さっきもそうだが、美月はもう遠慮なく俺の部屋に入ってくるようになっている。
アイドルやろうってのに、兄妹とは言え男の部屋に堂々と入って来て良いのだろうか‥?
「セブンちゃん、一緒にゲームしよ?」
「ゲーム‥?」
「“ファンタズム・ワールド”、知ってる?」
「知らないけど‥面白そう」
「んじゃ、ゲーム機持ってくる!」
美月は部屋に戻り、携帯ゲーム機を持ってきた。
セブンに俺のゲーム機を渡し、俺はコーチ役だ。
2人はベッドに寝転がりゲームを始めた。
俺は隣で座って、セブンに操作を教える。
ビデオゲームは経験が無いのか、セブンは操作すら四苦八苦していた。
暫くすると操作はできる様になったが、敵に突進してしまったり、攻撃が空振りしたり。
なかなかゲームを進められない。
さすがに見かねて、俺は小声でセブンに言った。
「予知ができるなら、ゲームなんて簡単だろ?」
「自分でやるから楽しい‥それに」
カチャカチャとコントローラーを操作しながらセブンは答える。
「それに?」
「こんな事で力使ってたら‥毎晩、律斗に補給して貰わないと、いけなくなる」
「え‥」
今朝の藍染の反応を思いだした。
家でそんな事をしていたら、今度は家族にあらぬ疑いをかけられてしまう。
「私はどちらでもいい」
言いながらセブンは体を寄せてくる。
「ま、待てって」
それを必死に制止する。
美月だって居るのに、セブンは気にする素振りもない。
「セブンちゃん?」
その様子を美月は目敏く見つけた。
しまった、見つかった?
「? なに?」
「さては、あ兄ぃの事を‥好き好きだねっ?!」
美月は明るく言う。
もちろん、他意はない。
「実は私もっ!」
何故かVサインの美月。
「全然、実は、じゃない‥」
と、コントローラーを操作していたセブンは言いかけて、ピクリと顔を上げた。
「あ」
小さく声を出す。
そして、しまったと言う表情をした。
「不覚‥」
小さく呟く。
「どした?」
再びセブンにだけ聞こえるようにたずねた。
「美月の力に巻き込まれた‥まさかこんな所でも‥」
「え、力なんて‥?」
特に美月が何かをした様には見えないが‥?
見回す俺に、
「す、‥‥好き好き」
セブンにしては珍しく、分かるくらい照れた顔をしている。
「は?」
「あーっ、私まで‥律斗を好き好きにされたぁ! こ、これだけは避けてたのにっ‥」
頬を紅くしながらセブンは言った。
ええっ?!
そんなこと、ある?
てか、セブンが避けてたのはそれ?
「もう、律斗、今晩覚悟して‥ギリギリまで吸い取るから」
「いやそれ、完全にとばっちり‥」
「それはこっちのセリフ!」
セブンはそう言いながら再びコントローラーを操作した。
おまけ話
セブンは美月の力で好き好きにされた、って言ってますが嘘です。
さすがに美月にそんな力は有りません。
本当は好きだった気持ちに気付かされた、なんです。
でも恥ずかしいから、好き好きにされたって言ってます。
作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)
ぜひぜひ御意見、お聞かせ下さいませ。
気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。
感想書いて下さる人には本当に感謝です。
もちろん評価とか貰えたら大感謝‥いや、望みすぎは良くないですね、反省。
また、連載形式で数日ごとアップしますので、読み逃し無いようお気に入り登録も宜しくです。
他にも小説家になろうに色々作品アップしてますので、良かったら見てみて下さい。
ファンタジーからSFまで色々揃えてます。
ちょっと不思議なラブコメ「幼馴染がいろいろおかしい」
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ミステリー探偵物語「ファインド・アイズ」
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ファンタジーラブコメ「ウチの弟が弟じゃない」
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