病室で約束もいろいろおかしい
謎の少女、セブンの力でやり直しをした主人公は、
藍染の自殺を食い止めるため、ある決心をした。
「なっ、ふぁわわーーーー!」
朝の病室、いや、病棟全体に藍染の悲鳴とも奇声とも取れる声が響いた。
時刻は朝の8時。
カーテン越しの日差しが、優しく白い病室を照らしていた。
藤原さんは席を外しているので、この個室には今は俺と藍染だけだ。
「????? りっくん?」
頭にクエスチョンマークを10個くらい浮かべながら、藍染はベッドからガバリと身を起こす。
「はよ、具合はどう?」
「ぐぐぐぐ、具合?」
藍染はテンパりながらキョロキョロと辺りを見回す。
「どした?」
「た、多分、ここには落ちてない‥と思う‥けど?」
しどろもどろになりながら答える藍染。
「いや具合が落ちてたら大変だろ‥自分の具合だよ、“はるちゃん”」
「わわわ、私ーー?」
「いや、落ち着けって」
と、突然、藍染は布団を頭から被りベッドに潜り込んだ。
「ど、どうして、りっくんがここにーー?」
布団の中から聞く。
「そこまで慌てなくても‥お見舞いだよ」
「だって、朝からりっくんは危険すぎるよ〜」
「俺は有害物質か」
「ほんと、息を引き取りそうになったよ‥」
「縁起でもない‥止まりそう位で勘弁してくれ。それより、顔を見せてくれない?」
布団にくるまった藍染に頼んだ。
「ヤダ」
「え、なんで?」
「真っ赤だから」
「そこまで?」
「昨日の事とか思い出したら‥顔向けできない‥」
どうやら布団の中でゴロゴロと転がっている様だ。
「いや、俺の方こそごめん、藍染がそこまで悩んでいたのに気が付かなくて」
「ううん、隠してたのは私だから‥」
言いながら、藍染はようやく布団から少し顔を覗かせた。
「その件で話あるんだけど‥いいか?」
「うん」
言われて藍染はベッドに座り直す。
「えと、突然で申し訳ないんだけど‥」
「うん」
「結婚‥しない?」
「?? 誰が?」
軽く首を傾げる藍染。
長い艶やかな黒髪が流れる姿はまさにお人形さんの様だった。
「藍染が」
「誰と?」
「俺と‥もちろん正式には卒業後だけど」
と、ここで藍染は事態を理解したらしかった。
「ぷ、プロポーズぅ?!」
「まぁ、世間ではそう呼ぶな」
「なんで急に?」
「嫌‥か?」
「嫌じゃない、嫌じゃないけど!」
藍染は首をブンブンと振った。
「俺も急だと思うけど‥昨日、ある人に言われたんだ。愛情は人それぞれで、比べる物じゃないって」
「うん」
「なら、俺と藍染の間でのベストは‥って考えたら、これだった」
「本当に? 藤原に言われたからとかじゃ‥」
「もちろん、藤原さんからは頼まれたよ。でも、そんな事じゃない」
「私で良いの? 病気だって‥」
藍染は未だ戸惑っているようだ。
「そこは頼みがある‥治療を受けてくれ。卒業しても藍染が居なきゃ始まらないんだから」
「そ、それは‥うん分かった」
少し考えて藍染は頷いた。
俺の気持ちは本当だが、だからといって結婚なんてまだ自信は無い。
だからこれは嘘になるかも知れない。
でもそれでも良い。
藍染を助けるためなら、最後に恨まれる事に成っても構わない。
それが一晩かけて俺が考えた結論だった。
「りっくん‥」
「はいよ?」
「嬉しい‥幸せ‥昨日あんなに絶望していたのが嘘みたい」
言いながら、藍染は大粒の涙を流した。
透き通った綺麗な涙が朝日に煌めいている。
真珠の涙って本当なんだな、と俺は思った。
「お嬢様、退院の手続きが‥」
そう言って藤原さんがドアを開け、入ってきた。
と、涙を流す藍染と俺に気付く。
「お嬢様?」
「あのね、りっくんが私を‥」
涙を拭いながら微笑む藍染。
それだけで藤原さんは状況を察したようだ。
「おめでとうございます、お嬢様、律斗さん」
そう言って頭を下げる。
「まだ‥約束だけですが‥」
「お父さんにも話さないと、だからね」
藍染も頷く。
「叶うように私も協力致します」
藤原さんは俺達の手を握った。
「それでね、藤原‥」
「はい」
「私、退院しないでこのまま治療を受けることにするよ」
「本当ですか! それは早速医師に伝えて‥」
藤原さんは病室を出ていこうとした。
「ちょっと待って」
藍染は藤原さんを呼び止める。
「はい?」
「昨晩言ったこと、私、本気だよ」
「と、言うと‥」
「治療を受ければ私は多分‥だから藤原に藍染の跡取りを、お願いしたいの」
「そ、それは律斗さんの子供‥の件ですか?」
藍染は頷く。
「うん、もちろん、藤原に他に好きな人が居れば、その人でも良いんだけど」
藍染は悩む素振りを見せた。
「そんな、私は律斗さん以外には‥あ」
慌てて否定しようとして、藤原さんの顔がみるみる赤くなる。
これって藍染の引っ掛けで告白されたのか、俺‥?
「じゃあ、決まりね」
してやったりと、微笑む藍染。
「お嬢様〜」
藤原さんは困った顔になった。
「もう一つお願い‥“春香”って呼んで?」
「それは‥春香‥‥春香‥春香‥お嬢様」
藤原さんも呼ぼうとするが、やはり長い間の慣れも有るのだろう、難しそうだ。
「急には無理かぁ」
「すみません」
「少しづつで良いよ」
そう言うと藍染は再び俺の方を見た。
「りっくん、藤原をお願い」
「お願いって言っても‥」
「私が治療している間なら藤原も時間があるでしょ? 女の子としても、ね 」
藍染はそう言ってウィンクをよこした。
「そう言う事‥分かった」
俺と藤原さんの間のことは互いの気持ち次第に任せる、と言うことだ。
無理にそう言う事を焦る必要は無い。
一人の女性として向き合えばいい。
「一緒に幸せになろ、お姉ちゃん」
そう言って藍染は藤原さんの手を取った。
作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)
ぜひぜひ御意見、お聞かせ下さいませ。
気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。
感想書いて下さる人には本当に感謝です。
もちろん評価とか貰えたら大感謝‥いや、望みすぎは良くないですね、反省。
また、連載形式で数日ごとアップしますので、読み逃し無いようお気に入り登録も宜しくです。
他にも小説家になろうに色々作品アップしてますので、良かったら見てみて下さい。
ファンタジーからSFまで色々揃えてます。
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