朝帰りもいろいろおかしい
早朝、病気からの帰りに不思議な少女と出会った主人公。
残り時間が2日と8時間であると告げられた。
早朝の住宅地。
小鳥の鳴き声が聞こえ、差し込む柔らかな日差し。
ジョギングする人達とすれ違う。
典型的な爽やかな初夏の景色。
だが、そこを歩く俺の足取りは酷く重かった。
疲れた、とも違う奇妙な感覚。
まるで身体の中心にある元気を引き抜かれた様に、力が入らない。
「た、ただいま〜」
家にたどり着き、玄関の扉を開けた所で俺は力尽きた。
靴を脱ぐ事も出来ず、廊下に倒れ込む。
その音を聞きつけたのか、リビングから美月が飛び出してきた。
「あ兄ぃ、どこ行ってた‥うえっ?」
足元に倒れた俺を見て驚く。
「大丈夫‥って、どうしたの?!」
「わ、悪い‥」
俺は全身、汗やら潮水やらで濡れてグシャグシャに成っていた。
「まるで海で溺れかけたみたいになってるよ?」
「そう言う訳じゃないんだが‥」
「酔っぱらい?」
「まさか」
「た、立てる?」
「すまん、すぐは無理だ」
「具合悪い? 病気?」
「いや、それは大丈夫だが‥死ぬほどだるい」
言いながら美月に肩を借りて、何とか立ち上がった。
身体が重い‥ともかく休みたい。
「部屋へ‥」
2階への階段を上がろうとした俺を美月が制止する。
「ちょっ、そのまま寝ちゃ駄目だよ!」
「いや‥」
「こっち来て!」
そのまま美月に無理矢理、脱衣場に引きずり込まれる。
「お、おい‥」
「いいから」
美月は躊躇なく俺の服を脱がし始めた。
と言ってもワイシャツはあの少女‥セブンに貸したから上半身はTシャツだけだ。
さすがに恥ずかしくて抵抗しようとしたが、それすらも難しい位、身体が重かった。
あっと言う間に服を引き剥がされてしまう。
「ほらこっち‥もう、世話焼けるんだから‥」
裸になった俺は美月に半ば引きずられる様に風呂場に連れ込まれ、シャワーでお湯をかけられる。
「うわっぷ」
「ちょっと我慢して‥洗ってあげるから」
美月は俺を座らせると、スポンジにボディソープを含ませて泡立て、背中をこすり始めた。
「ま、待て自分で‥」
「じっとして!」
「す、すまん」
もはや兄の威厳は消滅していた。
美月は背中を洗い終えると、そのまま前に回り込んだ。
「お、おい‥」
さすがに止めようとして‥美月の余りに真剣な表情にできなかった。
「怪我とかは‥ないみたいね」
「ああ」
どうやら洗いながら体に異常がないかチェックしてるらしい。
「‥昨晩はどうしたの?」
ぽそりと美月がたずねる。
「ごめん‥藍染が‥急に熱を出して」
さすがに詳細を話すのははばかられた。
「‥そうなんだ‥心配だね」
美月はそれ以上は聞かない。
怒っている感じでもない。
ただ黙々と手を動かして俺の体を洗っている。
もはや完全に子供か犬でも洗う扱いだ。
もし他人‥例えば藍染にこんな事をされたら、恥ずかしさで悶死する所だが、美月になら‥目茶苦茶恥ずかしいが‥何とか耐えられるのは不思議だ。
やはり、家族だからだろうか。
美月はあっと言う間に俺の全身を洗い終えると、再び正面に来た。
じっと俺の顔を見つめる。
洗っている間に濡れたシャツが肌に張り付いて、柔らかなボディラインを形どっていた。
その時になって、俺は美月の目が少し赤いのに気付いた。
「美月‥寝てないのか?」
「心配‥した‥ぞ」
言葉と共に腕を回して俺に抱きつく。
お互いぐしょ濡れのまま。
それだけに美月の温かさが伝わって来る。
「心配かけてごめん」
「もう帰って来ないかもって‥」
美月は少し涙声だった。
「まさか。家出なんてしないって」
「ううん。あのまま藍染さんの家のコに成っちゃうんじゃ無いかって」
「俺はペットか」
「まぁ、そんな感じ?」
「酷くないか‥」
とは言え、これだけ心配させては文句も言い難い。
「そだ、うちのコって分かるようにマーキングしとこ」
突然、顔を上げた美月が奇妙な事を言い出した。
「は?何を‥?」
問いかける間もなく、美月は俺の首筋に唇をあてた。
そのまま強く吸う。
それはキスと言うより吸い付くと言う感じで。
「んんんっ!」
美月はかなり力を込めて吸った後、ようやく唇を離す。
「一体何してる‥あーーーっ!」
俺は風呂場の鏡に映った自分を見てようやく気付いた。
首筋にクッキリと赤い‥。
「おま、キスマーク付けたな」
「えへ」
舌を出して誤魔化し顔の美月。
と、ここでその形や色に見覚えあることに気付く。
「もしかして‥こないだも?」
「な、何のことかな‥」
視線を逸らし、とぼける美月。
その態度だけで既に有罪だ。
「くそう、元気があればやり返す‥事は無いか」
もし、美月にキスマークを付けるような事をしたら‥そこで止まれる自信が無かった。
「やり返しても、良いよ? ほらほら」
美月は抱き合ったままシャツから肩口をはだけさせ、俺の眼前に突き出した。
綺麗な曲線を描くデコルテから胸元までが
視界一杯に広がる。
俺にやり返す元気が無いと知ってか、やけに挑発してくる。
ここまでやられて何もしないのも癪だ。
何かやり返す方法は無いか‥。
体力が無くてもできる事は‥。
そう思いながら、目前の美月の首筋から視線を上げ、ある物を見つけた。
『ふーーーっ』
俺は優しく美月の耳に息を吹き掛けた。
「やっ、あ兄ぃ、そこはっ」
美月は途端にピクピクと身体を震わせる。
「ふ、ここがやはり弱点だったな」
俺は勝ち誇って言った。
『フーーフッふぅ~~』
微妙に強弱を付けて美月の感覚を惑わす。
「駄目、だめ、そこだめ」
美月は身をひねり息を外そうとするが、なにせ至近で抱き合っているから、それも難しい。
とは言え、本当に嫌なら俺から離れれば済むことだが、美月はそうしなかった。
「んっ、あ兄ぃ、それ、それ以上はっ」
「ふふ、弱点を晒したのが敗因だな」
『ふうーーー』
「そっ、ごめ‥あん、あっ‥いっ、んんっ」
美月は最後に一層強く俺に縋り付くと、まるで跳ねる様に身体を震わせ‥そのままくったりとなってしまった。
‥あ、しまった、やり過ぎた?
慌てて倒れそうになる美月を支えた。
ハアハアと荒い呼吸をする美月はもう一度、強く俺に抱きつくと、
「‥癖になっちゃうじゃん」
そう俺の耳に囁いた。
モチベーション維持のためにもぜひぜひ感想とか教えて下さいませ。
気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。
感想書いて下さる人には本当に感謝です。
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