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幼馴染がいろいろおかしい 【ファンタジックラブコメ】全編完結  作者: てんまる99
夢幻少女:ちょつと不思議なお話が好きならこちら

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夜明けの海もいろいろおかしい

全然プロットにすら無かった話なんですが‥突然考えても居なかったキャラが登場して予想外の話を始めちゃいました

夜明けの海岸を歩いていた。

吹き抜ける夜明けの海風が少し冷えて気持ち良い。

海はまだ濃紺だが、わずかに波頭が夜明けの明りを放つ。

砂浜を踏みしめる音が僅かに響いていた。


藤原さんが家に送ると言ったが、断った。

駅まで歩き、始発で帰るつもりだったが、気が変わり、海岸へと出た。

一人になって考えをまとめたかった。



「はぁ、どうすれば良い‥」

俺は何度目かの溜め息をついた。

藍染の事、藤原さんのこと、そして美月の事。

皆大事な人なのに、誰も幸せにできていない。

いくら考えても、どうしたら良いか考えがまとまらなかった。


何しろ結婚なんて現実感が無さすぎて、言葉以上の理解が出来ない。

ましてや子育てなんて‥高校生の身では全く未知の世界だった。


“バシャッ”


海から大きな水音がした。

まるで、大きな魚が跳ねた様な水音。


思わず気になって音のした方を見ると‥まだ暗い海の中に少女が立っていた。


膝上まで海水に浸り、こちらに背を向けて。

長い銀髪が海面に広がり、波に揺れていた。

年齢は中学生位か‥小柄な少女だった。



さっきまであんな所に人がいたか?

暗い海とはいえ、人がいたなら気付くはず。

何処からか泳いできた?

まさかこの暗い海を?

まだ陽もほとんど昇っていない。

海中は真っ暗なはずだ。


「お兄さん」

少女は俺に背を向けたまま言った。


「お、俺?」

「そう。服貸してくれる?」

「え、 シャツなら‥良いけど」


「そ、ありがと」

少女は振り向くと、こちらに向かってじゃぶじゃぶと暗い海を掻き分け歩いて来る。


彼女は全裸だった。

深碧の海と空の間に微かに白を落とした様な、非現実感。

濡れた体に銀髪がまとわりつき、緩やかなカーブを描いていた。


その姿は、まるで陶器でできた等身大の人形の様だった。

生命感が無いためか、一糸纏わぬ姿なのに全く卑猥な感情が沸かない。



彼女は一切表情を変えずに俺の前まで歩いて来ると、手を突きだした。

深紅の瞳が俺をひたり、と見ていた。


「服」

「あ、ああ」

慌ててワイシャツを脱いで渡す。

彼女はまるでそれを当然の如く受け取り、羽織った。



そのまま俺の脇の砂浜に腰を下ろす。


「聞くよ?」

彼女は唐突に口を開いた。

「え、何を?」

「何でも。お兄さん、ここに来てから5回溜め息ついた」

まるで砂浜の貝殻を数える様に彼女は言った。


「聞こえてた?」

「もちろん。あんな大きな声ならね」

「そ、そうか‥すまん」

「謝らなくて良いよ。シャツの代金だから」

「そ、そうか‥」

少女の反応は抑揚が無く機械的だった。

それ故か、感情に囚われずに話せる気がした。


「シャツは相談料?」

「そうね」

「結構重い話だけど‥良いかな」

「私には他人事だから構わないよ」

あっさりと少女は言った。

自分より年下の少女に相談なんて‥と思ったが、話すことで考えが整理できるなら無駄じゃない、と思い直した。



俺はかいつまんで今の状況を彼女に話した。

美月の事、藍染の状況、藤原さんの行動など。

彼女は時折、軽く頷きながら静かに聞いていた。


「‥‥と言う感じ」

「で、何が悩み?」

「だから、どうすれば良いか‥」

「全員の最大幸福?」

「まぁ‥そうだな」

「それならお兄さんは藍染と言う娘と結婚するのが最善。美月と藤原は愛人でいい」


「けほっ」

少女の余りにストレートな言い方に思わず咳き込んだ。


「風邪?」

「い、いや‥それは流石にインモラルな‥それに子育てなんて俺にはまだ‥」

「インモラル?」

「良識に反すると言うか‥」

「大事な人の命より良識が大事?」

「い、いや‥とりあえず続けてくれ」



「誰でも最初は初めて。むしろ親が元気なうちの方が、学ぶ機会は多い」

「それはそうかもだけど‥」

「資産がある家と結婚すれば、子育てをする時にも有利」

「それも確かだけど」

さすがにその言葉に従うのは‥。


「愛情には重さも無ければ比較もできない。客観的優先度に従うべき」

「まあ‥確かに君の意見は一理あるよ」

「従うかは貴方次第」

「分かった」

「ただし、残り時間は少ない。あと2日と8時間」

「そ、そんなに?」

突然のタイムリミットに俺は驚いた。

漠然とした相談をしているつもりだったから。


「そう」

「その時間を超えたら?」

「全員の最大幸福は成立しなくなる」

「誰かが不幸になる?」

「言えない。言ったら構成要素が離散する」


余りに荒唐無稽な話だ。

だが、彼女からは俺を騙そうとか、悪意は全く感じられない。

「‥君って一体?」

「知りたい?」

「まぁ」

「代金を払えば教えてあげる」

「‥君の正体を聞く代金は?」

「貴方の‥魂」

少女は初めてニコリ、と笑う表情をした。

‥その目は全く笑っていなかった。


俺はここから立ち去ろうとした。

いや、立ち去りたかった。

これ以上彼女の側に居るのは危険だと、心の奥底で何かが警鐘を鳴らしていた。


「ありがとう、少し気持ちが楽に成ったよ」

俺は礼を言って、その場を立ち去ろうとした。

「いいよ。貴方の“不幸”美味しかったから」

当たり前の様に彼女は言った。


「え、君は人の不幸を食べるの?」

「まさか‥バクじゃあるまいし」

「そうか、良かっ‥」

「舐めて、味わうだけよ」

もう一度、少女は表情だけニコリと笑った。



立ち去ろうとする俺に、彼女は言葉を投げてきた。

「シャツを借りた恩があるから、一度だけチャンス、あげる」

「チャンス?」

「そう。どうしてもやり直したくなったらここに来て。3日分と引き換えに一度だけやり直し、させてあげる」

「何の、3日分?」

「貴方の想像している通りのものよ」

「できるだけ、そうならない様にするよ」

声が勝手に震えた。


「ラッキー・セブン」

彼女は唐突に言った。


「それは?」

「私の名前。ワイシャツを返す時、名前を知らないと困るでしょう? 須藤律斗」

「あれ‥俺の名前、教えた?」

「さっき、教えて貰った」

「そうだっけ?」

「貴方の魂にね」


「‥お喋りな魂だな」

「だからここで会えた。また会える。素敵じゃない」

「まぁ、ワイシャツ返して貰わないとならないしな」

「そう言う事」


それだけ言って俺は駅のほうに歩き始めた。

クスリ、と笑う声がした気がした。


けど、もう一度振り向くと、海岸には誰も居なかった。


遥か向こうでパシャリ、と魚の跳ねる様な水音がした。


モチベーション維持のためにもぜひぜひ感想とか教えて下さいませ。

気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。

感想書いて下さる人には本当に感謝です。


また、連載形式で数日ごとアップしますので、読み逃し無いようお気に入り登録も宜しくです。


他にも小説家になろうに色々作品アップしてますので、良かったら見てみて下さい。

ファンタジーからSFまで色々揃えてます。


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ファンタジーラブコメ「ウチの弟が弟じゃない」

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