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19/20

19.決着

 フラン君、私は君に謝罪しなければならない。

 初めて君に会った時、私は君のことを可哀想だと思った。

 哀れんでいたんだよ。

 何せあの頃の君は、どこにでもいる普通の少年でしかなかったから。

 特別な才能も感じられなかった。

 だが、君は瞬く間に成長した。

 なんてことはない。

 愚直な努力で、才能の壁を打ち破ったんだ。

 そんな君を見ていたから、私も負けられないと思えた。

 追いつかれないように陰で訓練していたことを、君は知らないのだろうね。

 本当に強くなったな。


「君の勝ちだ。フラン君」

「はい」


 互いに向かい合ったまま立っている。

 剣を下ろし、穏やかな表情で。

 一瞬、観客も理解できなかった。

 勝敗は決したのだ。


 静寂を挟んで、歓声が沸き起こる。

 無名の剣士が最強の座を奪い取ったのだ。

 しかも、強者としての力を見せつけ、不正など感じさせない熱戦を制して。

 歓声が俺に注がれている。

 皆の視線が、俺に集まっている。

 小さな村で生まれ、誰からも期待されなかった俺が、こうして脚光を浴びている。


 人が、国が、世界が――


「貴方を見つけたわよ、フラン」

 

 そして俺は、君を見ている。

 会場から見える観客席で、レミリアが微笑んでいる気がした。


 その後、表彰式が行われた。

 国王様から表彰状とトロフィーを手渡されたのだけど……


「おめでとう」

 

 そう言いながら、とても嫌そうな顔をしていた。

 理由は聞くまでもない。

 これだけ目立てば、国王様も俺のことを軽視できない。

 何せ王国最強の称号を持つ男だからな。

 狙い通りのレミリアも、表彰式ではずっとニコニコしていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 式が終わり、城へと戻る。

 俺の部屋には、レミリアが一緒にいた。


「よくやったわね、フラン」

「うん、何とか勝てたよ。やっぱりアドルフさんは強いね」

「当然でしょ? 彼は私たちの国の騎士団長よ」

「ああ、改めて思い知ったよ」


 アドルフさんはというと、大会後すぐに仕事へ戻った。

 騎士団長という立場は多忙だ。


「そのアドルフから伝言よ。「次は負けない」だそうよ」

「望むところですよ」


 アドルフさんらしいと感じながら、俺は小さく笑った。

 そうして、俺は勝利した実感を再び感じる。

 辛かった日々が、今日という日を作ったんだと思うと、報われた気分だ。


「何を満ち足りた顔してるの? 大事なのは今からでしょ?」

「え、今から?」

「そうよ。ほら、そろそろ行きましょう」

「行くってどこに? 今日はもう何も予定はなかったんじゃ」


 俺がキョトンとした表情を見せると、レミリアは呆れてため息をつく。

 ちょっと不機嫌になりながら、彼女は俺に言う。


「お父様の所よ。まだわからないかしら?」

「あぁ……そういうことか」


 一言ですべてを察した。

 なるほど、確かに今からが大事だな。

 というより、むしろ今からが本当の闘いになりそうだ。


「ある意味では、アドルフさんよりずっと強敵だからね」

「ええ……でも、今日こそ倒すわよ」

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