19.決着
フラン君、私は君に謝罪しなければならない。
初めて君に会った時、私は君のことを可哀想だと思った。
哀れんでいたんだよ。
何せあの頃の君は、どこにでもいる普通の少年でしかなかったから。
特別な才能も感じられなかった。
だが、君は瞬く間に成長した。
なんてことはない。
愚直な努力で、才能の壁を打ち破ったんだ。
そんな君を見ていたから、私も負けられないと思えた。
追いつかれないように陰で訓練していたことを、君は知らないのだろうね。
本当に強くなったな。
「君の勝ちだ。フラン君」
「はい」
互いに向かい合ったまま立っている。
剣を下ろし、穏やかな表情で。
一瞬、観客も理解できなかった。
勝敗は決したのだ。
静寂を挟んで、歓声が沸き起こる。
無名の剣士が最強の座を奪い取ったのだ。
しかも、強者としての力を見せつけ、不正など感じさせない熱戦を制して。
歓声が俺に注がれている。
皆の視線が、俺に集まっている。
小さな村で生まれ、誰からも期待されなかった俺が、こうして脚光を浴びている。
人が、国が、世界が――
「貴方を見つけたわよ、フラン」
そして俺は、君を見ている。
会場から見える観客席で、レミリアが微笑んでいる気がした。
その後、表彰式が行われた。
国王様から表彰状とトロフィーを手渡されたのだけど……
「おめでとう」
そう言いながら、とても嫌そうな顔をしていた。
理由は聞くまでもない。
これだけ目立てば、国王様も俺のことを軽視できない。
何せ王国最強の称号を持つ男だからな。
狙い通りのレミリアも、表彰式ではずっとニコニコしていた。
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式が終わり、城へと戻る。
俺の部屋には、レミリアが一緒にいた。
「よくやったわね、フラン」
「うん、何とか勝てたよ。やっぱりアドルフさんは強いね」
「当然でしょ? 彼は私たちの国の騎士団長よ」
「ああ、改めて思い知ったよ」
アドルフさんはというと、大会後すぐに仕事へ戻った。
騎士団長という立場は多忙だ。
「そのアドルフから伝言よ。「次は負けない」だそうよ」
「望むところですよ」
アドルフさんらしいと感じながら、俺は小さく笑った。
そうして、俺は勝利した実感を再び感じる。
辛かった日々が、今日という日を作ったんだと思うと、報われた気分だ。
「何を満ち足りた顔してるの? 大事なのは今からでしょ?」
「え、今から?」
「そうよ。ほら、そろそろ行きましょう」
「行くってどこに? 今日はもう何も予定はなかったんじゃ」
俺がキョトンとした表情を見せると、レミリアは呆れてため息をつく。
ちょっと不機嫌になりながら、彼女は俺に言う。
「お父様の所よ。まだわからないかしら?」
「あぁ……そういうことか」
一言ですべてを察した。
なるほど、確かに今からが大事だな。
というより、むしろ今からが本当の闘いになりそうだ。
「ある意味では、アドルフさんよりずっと強敵だからね」
「ええ……でも、今日こそ倒すわよ」




