16.トーナメント
勝ち残った十六人によるトーナメント。
四回勝利すれば、最後の一人に残ることが出来る。
そうすれば、前回優勝者であるアドルフさんと戦える。
「負けられないな」
俺は気合を入れ直す。
第四ブロックの予選終了から三十分後。
トーナメント表が発表され、そのまま一戦目が始まる。
一戦目。
相手は遠く辺境の村から来た槍使い。
「さっきの戦い見たぜ! お前とは決勝で戦いたかったが……初戦がオレ様だったことを後悔するなよ」
なんて格好良いセリフを吐いていたけど、試合時間は十秒。
瞬殺だった……殺してないけど。
後で聞いた話では、辺境の地で最強と呼ばれていた槍使いだったらしい。
二戦目。
元盗賊の女性で、鎖鎌やナイフなど、様々な武器を扱う。
色気漂う服装に、会場の男性陣が盛り上がっていた。
「坊や。終わったらお姉さんと良いことしない?」
「お断りします」
とは言え、俺には関係のない話だ。
大人のケバケバした色気なんて、レミリアに比べてば月とナメクジくらいの差がある。
色気で俺を惑わせる作戦だったようだが、当てが外れたな。
三戦目。
前回の大会で、アドルフさんと戦った刀使い。
刀を使う剣士との戦闘は、これが初めてだった。
「拙者には見える。貴殿の並外れた修練が」
「それはどうも」
なるほど、目は良いらしい。
隙も少なく、斬撃のキレもある。
今までの相手よりは、少しやりがいのある相手だった。
「無念……」
だが、それでも結果は同じだ。
アドルフさんのほうが速いし一撃が重い。
彼と比べてしまうと、優れた剣士でもひどく幼稚に見える。
四戦目。
トーナメント最後の一戦だ。
これに勝てば、次はアドルフさんと戦うことになる。
いや、まずは目の前に相手に集中しよう。
相手は騎士団の現副団長であり、女剣士のモルラさん。
稽古で何度か戦ったことのある人で、騎士団での実力もアドルフさんに次ぐ。
「よろしくお願いいたします」
「はい。こちらこそ」
礼儀正しく、騎士道を重んじる。
アドルフさんに鍛え上げられた剣技は、とても美しく流麗だ。
これまでの相手とは明らかに違う。
動きも、太刀筋も、俺と戦いになる相手だ。
「くっ……負けません! 団長と戦うのは私です!」
「いいや――俺だ!」
剣と剣をぶつけ合う。
互いに目指す場所、戦いたい相手は同じ。
彼女の剣からも、強い思いが伝わってくるようだ。
だが、思いだけで勝てるほど、勝負は甘くない。
「……まいりました」
勝者は俺だ。
稽古でも試合でも、俺が彼女に負けたことはない。
この結果、実力の差は必然だった。
悔しそうに震える彼女を見て、本気さを改めて感じる。
「フラン殿、また今度稽古の相手をお願いしてもよろしいか?」
「もちろんですよ」
そして何より、彼女は負けず嫌いだ。
ギラギラとした目が、諦めないぞと訴えかけてくる。
これは俺も頑張らないといけないな。




