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15/20

15.ハンデ付き

 武術大会には、世界中から参加者が集まる。

 ただし、誰でも参加できるというわけではない。

 過去の実績や推薦など、実力を証明するものが必ず必要になる。

 要するに、この大会に参加する者に、弱者は一人もいないということだ。


 それでも――


 強者といえど、同列とは限らない。

 圧倒的な差がある場合も、時としては起こりうる。

 ちょうど今がそうであるように。


「嘘だろ……」

「ありえない……こんなことってあるのか」


 観客席からポリツポリツと聞こえてくる声。

 歓声ではなく、罵声ですらない。

 その光景を目の当たりにして、彼らが最初に感じたのは困惑だった。


 開始の合図がなったのは、今からたった二十分前。

 そのときコロシアムの中央には、百を超える参加者が立っていた。

 しかし、今立っているのは四人だけ。

 予選第一ブロックは、過去最高のスピードで決着したのだ。


「ふぅ……案外疲れるんだな」


 一人が汗をぬぐっている。

 観客の視線が、その一人に集まっている。

 いや、観客だけではない。

 同じく最後に残った三人も、観客と同じように見つめていた。


 王族専用の観客席。

 レミリアとアドルフが、会場を見つめて自慢げに笑う。


「ふふっ、当然の結果ね」

「さすがだな」

 

 一緒に観戦していた国王様と王妃様も、その光景に各々の反応を見せる。


「凄かったですね~」

「ふんっ、私は何も見ていない」

「あらあら」


 俺は剣を鞘に納める。

 周囲の視線に気づいたのは、実を言うとそのタイミングだった。

 逆に驚いた俺だったけど、それもすぐに忘れる。

 次の瞬間には、観客席から爆音のような歓声が聞こえてきたから。


 先に言っておくが、俺は普通に戦っただけだ。

 最初の一人を倒してから、なぜだか次々に俺に襲い掛かってきたからな。

 全部を返り討ちにしていたら、気づけば四人に残っていた。

 だから、この時の俺は知らない。

 この場に集まった武術家のうち、半数を倒したのが自分だということを。

 ハンデと思って腕輪を残したけど、結局あまり意味はなかったらしい。

 その程度のハンデでは埋まらない実力差が、俺たちの間にはあったのだから。


「うわっ、何々?」


 歓声が自分に向けられていることも、まだ気づいていなかった。

 湧き上がる会場から、俺は逃げるように出ていく。


 その後、三ブロックの予選が行われた。

 三戦とも時間は四十分程度で終わり、勝ち残ったされた十六人が出そろった。

 ここから決勝トーナメントに移る。

 俺は誰と戦うことになるのか、トーナメント表を見ながらワクワクしていた。

 その一方で、どうか初戦で俺と当たらないでくれ、という祈りが聞こえたような気がした。


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