14.成長の証
盛大に花火が上がる。
空に咲いた火花が、武術大会の開幕を告げていた。
武術大会は一次予選と二次の決勝トーナメントに分かれている。
一次予選は参加者を四つに分けて実施される。
制限時間は特に設定されておらず、各ブロックで最後まで生き残った四人だけが、次の本戦である決勝トーナメントに足を進める。
そして、決勝トーナメントで勝ち抜いた一人。
たった一人だけが、前回優勝者……現最強への挑戦権を得る。
「要するに、最後まで勝ちなさいってことよ」
「なるほど。武器は自前のを使うの?」
「ええ」
「そっか……」
文字通りの真剣勝負というわけか。
「相手に怪我をさせてしまうかも、なんて考えてるでしょ?」
「え、ああ……うん」
「そこは心配いらないわ。参加者には競技用の魔道具が配布されるの」
白衣の腕輪。
身体を薄い結界で覆うことが出来る魔道具。
一撃だけは防げるけど、一撃受けると壊れてしまうとか。
「壊れたら戦闘不能という判定よ」
「へぇ~ 魔道具ってやっぱり便利だね。あっ、腕輪で思い出したんだけど」
俺の腕には、すでに腕輪が装備されている。
こっちはただの重りで、便利とは程遠い代物だけど。
「これって外しても良いの?」
「駄目よ」
「ですよね。まぁわかってたけどさ」
「予選程度ならそれくらいのハンデがあって十分よ。戦闘中は魔法の使用こそできないけど、単純な強化魔法だけは許可されているもの」
「そうだね……うん、大丈夫だ」
「頑張りなさい」
「ああ。頑張るよ」
レミリアは王族の特等席に向い、俺は予選参加者の集合場所へ向かう。
今年の参加者は四百人を超えているらしい。
一ブロックは約百人。
その中で、四人に残らなくてはならない。
俺が割り振られたのは第一ブロック。
一番最初に戦う組だ。
くるっと周りを見渡すと、屈強な戦士たちが揃っている。
体格だけなら、俺は最下位かもしれないな。
「おいおい! 今年はがきんちょも出るのかよ」
「ん?」
「お前だよ。銀髪のチビちゃん」
その中でも大柄な男が、俺に話しかけてきた。
というより、煽ってきた感じだ。
「大丈夫か~ ここは子供が来るような場所じゃねーんだぞ?」
「ご心配なく」
「そうかよ。本番で泣くなよ?」
「こちらのセリフです」
煽りには煽り返せ。
というのは、レミリアの教えだ。
舐められっぱなしで終わるなとよく言われてきた。
まぁでも、当然男は怒る。
「肝は据わってるみてーだな。いいぜ……お前から最初に倒してやるよ」
「どうぞご自由に」
俺は冷静に返す。
これがさらに男の怒りに火をつけた。
そして――
開始のゴングが唐突に鳴り響く。
その直後、男は巨大な鉄球をもって振り回して襲ってくる。
「クソガキが! 覚悟しやがれ!」
「ふっ」
予想通りの動き。
何より、欠伸が出そうになるくらい遅いな。
「なっ――」
斬撃一閃。
彼には見えない速度だったはずだ。
刹那の一撃によって、彼の腕輪は機能を停止する。
奇しくも彼が、今大会最初の敗北者となった。
「そ、そんな馬鹿な……」
「だからこっちのセリフだと言ったでしょう」
二年間の特訓の日々。
地獄のような毎日は、ちゃんと俺の身体に残っている。
決して無駄ではなかった。
それを今から証明しよう。




