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10.魔法のお勉強

 毎日の午後は魔法のついての勉強だ。

 僕たち人間の身体には、魔力という特別な力が流れている。

 魔力は術式を介することで、様々な現象を起こす。

 それが魔法だ。


 魔力は誰にでも備わっていて、ちゃんと学びさえすれば、子供だろうと扱える。

 だけど、魔法ほど難しい学問はないと言われている。

 実際、凄く難しかった。

 一つの魔法を使うためには、術式を理解して、記憶する必要がある。

 そこにセンスとか、相性とかが絡み合って、個人で効果に差が生まれる。


 僕の場合は、まず基礎から学ぶ必要があった。

 村人には魔法の知識なんて不必要。

 僕が暮らしている村でも、魔法が使えた人はいなかった。

 魔法という言葉は知っていても、中身はわからない。

 まずはそこを知らなければ、魔法を扱うなんて夢のまた夢だ。


 と、言う話をレミリアにされた。


「もう一か月経つんのだし、そろそろ基礎は覚えたわよね?」

「う、うん……たぶん」

「情けない返事ね。また朝までみっちりお勉強したいのかしら?」

「だ、大丈夫です!」


 ここに来て最初の一週間。

 簡単な文字しか読めない僕は、魔法の勉強も一苦労だった。

 時間が足りないと言われて、夜が明けるまで書斎に閉じ込められたり……

 そのままランニングと剣術の稽古。

 あの頃は本当に地獄だった……いや、今も大して変わらないけど。


「魔法は基礎が一番大切よ。ちゃんと復習、反復させなさい」

「うん」


 僕は目を瞑る。

 魔力のコントロールこそ、魔法の基礎だ。

 人間は身体の中で魔力を生み出し、蓄え、巡らせ、必要とあれば放出する。

 そういうコントロールが満足にできて、ようやくスタートラインに立てる。


 目を瞑れり、自分の心臓の辺りに集中する。

 何となく感じられる鼓動とは別の響き。

 それが魔力の流れる音で、生み出している感覚。

 レミリア曰く、この感覚を掴めない人は、魔法の才能がないらしい。

 僕は案外簡単にわかったから、正直ほっとしたよ。


「基礎が大切……それは自分の身体が実感してるよ」

「そうでしょうね。特にフランの場合は」

「うん」


 僕とレミリアの視線は、僕の右手の腕輪に集まっていた。

 この腕輪の効果で、僕の体重は三倍になっている。

 今ではあまり苦になっていない。

 その理由は筋肉がついたから、ではなく、魔法の基礎を覚えたからだ。


 強化魔法という。

 最もベーシックな魔法で、術式を介さないのが特徴。

 魔力を体中に巡らせ、身体機能を底上げする。

 巡らせる魔力量、速度によって効果が増減する。

 これで身体を強化しているから、重さが三倍になっても普通に動けるようになった。


 日々の特訓の中で、確実に力をつけてきている。

 自分で自分を育てているような感覚は、悪いものではなかった。


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