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9.倉庫を整理していたら

 特訓という名のしごきが始まって一か月。

 初めのうちは重く感じていた腕輪も、今では違和感なく装着できている。

 慣れというのは甚だ恐ろしい。


 朝起きて王城の周囲をランニング五周。

 午前中は副団長さんと剣術の稽古。

 午後は魔法についての座学と、地下の魔道具を使った訓練。


 これを毎日繰り返していくうち、自分でもわかるくらい強くなったと実感する。

 ただ……


「今日こそは一本取りなさい」

「頑張るよ」


 相変わらず、レミリアはスパルタだ。

 というか、最初の頃より厳しくなったような……楽しんでないよね?

 可憐で儚げなイメージが、この一か月で完全に塗り替えられたよ。


「はぁ……はぁ……」

「今日も駄目だったわね」

「……ごめん」

「良いわよ。ちゃんと頑張ってるのは伝わるから」


 そう言って、レミリアは午後の準備があると城内へ戻っていく。

 僕はしばらく仰向けになったまま、乱れた呼吸を整えていた。

 すると――


「フラン」

「アドルフさん」

「今日もよく頑張ったな。少しずつだが、確実に上達しているぞ」

「ありがとうございます」


 副団長のアドルフさん。

 僕の剣術の稽古の相手をしてくれている人で、とっても優しい。

 終わるといつも労いの言葉をくれるし、ちゃんと褒めてくれる。


「そろそろ行かないと」

「まだ休んでいろ。午後まで時間はある」

「いえ、今日は倉庫に用事があって」

「そうなのか? 頑張るのは良いが、あまり無理はするなよ? 姫は厳しくされいるが、君が倒れると悲しむぞ」

「はい。気を付けます」


 そんな話をして、僕は地下二階の倉庫へ向かった。


「さてと」


 相変わらず埃っぽい。

 用事というのは、この倉庫の掃除だ。

 以前からずっと気になって、整理したいと思っていた。

 あまり時間はないので、こういう合間を縫って少しずつやっている。


「剣の置き方もテキトーだな~」


 円柱状のかごに古い剣が何本も入れてある。

 見た目からして、もう使えなさそうだ。

 使わないなら処分すればいいのに、とよく思う。


「ん?」


 その中で、一つだけ妙に存在感のある剣を見つけた。

 外見の古さは他と変わらない。

 いや、むしろもっと古いかもしれない。

 持ち手の部分なんて欠けているし、鞘も黒ずんでいた。

 この様子だと、刃は錆びていそうだ。


 何気なく、剣を抜いてみる。

 思った以上にスルリと抜けて、刃に自分の顔が写っていた。


「驚いたな。全然さびてないぞ」


 それどころか刃こぼれもしていない。

 これも魔道具なんだろうか?

 まだ十分に使えそうだと感じた。


「後で聞いてみようかな」

 

 この剣は、後に僕の愛剣となる一振り。

 そして、秘められた力に気付くのは、まだずっと先の話だ。

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