歩かせようと必死だね
万全な準備をして入山した、はずだった。
だいぶ山のふもとの方で、そめちゃんが力尽きた以外は。
「……俺はもうだめだ、皆、置いてってくれ……」
「じゃあ遠慮なく先へ行くぞソメイ」
「帰りに拾ってやるからな、いつになるか分からんけど」
「やだー!!!ここで置いてかれたら死んじゃう!!冗談だってば!」
ぽっちゃり体型と日頃の運動不足のダブルパンチで、そめちゃんの脚は終わっていた。立ちあがろうにも膝が震えちゃって、歩けそうにない。
「情けねぇなあ、おっさん」
「ジオさん!!背負ってくれるの?」
「早く歩ける魔法をかけてやる」
「鬼!!!」
エキナさんが心配そうにそめちゃんを見ている。
「大丈夫?ソメちゃん。膝の痛みが軽くなるように、術をかけておくわね」
「皆、何が何でも歩かせようと必死だね(涙)」
「今日中に村に入りてぇからなぁ……ティア、村はどのあたりなんだ?」
「……中腹だな、真っ直ぐいけば三時間もあれば着く」
「詳しいな、ティアはこっち来たことあんのか?」
「……まあ」
昨日あれだけ笑い転げていたティアさんが、今日は口数が少ない。具合でも悪いのだろうか。
「行こう、天候が変わったら困る」
「そうだな、頑張れ太っちょ」
「ひぃー!あ、あれ、足がどんどん進む…?」
そめちゃんの足元が黄緑に光る。魔素が集まっているんだ。
「すごい、魔法ってこんなことも出来るんだ!」
「気をつけろよ、加減を誤ると崖から落ちるぞ」
「怖いこと言わないでジオさーん!!」
幸いなことに、村までの道中魔物には遭わなかった。まあ、仮にいてもこのメンバーなら安心な気もする。
「おい、立札がある」
「『エリカの村』だって……ここだよね」
「日が傾く前に着いて良かったな」
そめちゃんは安心し切ってその場に座り込んでしまったので、ケルベロスに引き摺られていた。




