フード脱げ馬鹿者
生まれて初めて訪れた養老院は、小さな芝の庭があり、色々な花が植えられていた。
建物に縁側のような場所があり、おばあちゃんが日向ぼっこしていた。
「……あら、お客さん?」
「……ご婦人、今日はギルドの依頼でやってきた」
「まー声はちっちゃくて聞こえないけど、お兄さんイケメンねぇ」
「………」
ティアさんがジオさんに頭をはたかれる。
「お年寄りは耳が遠いんだよ!でっかい声でゆっくりと喋る、これ基本!あとフード脱げ馬鹿者」
おばあちゃんはにこにこと二人のやりとりを見ていたが、ジオさんを食い入るように見つめ、やがてどこかを眺め、もう一度ジオさんを見て、目を見開いた。
「………!!えっ……」
ジオさんが額を抑え、俯いた。
おばあちゃんが口をぱくぱくさせる。何かとジオさんを見比べているようだが、何だろう?
……銅像?
「あの銅像に何かあるの?」
「近づいてみよーぜ」
「もういいじゃないか、仕事、仕事!」
ジオさんに引き留められる。肩に置かれた手の力の入り方が尋常じゃない、痛い。
それを振り切って銅像の方へ向かう。
「………」
「……………!?」
「………プッ」
銅像は、どう見ても髭のない、若かりし頃のジオさんだった。
意味が分からなくてジオさんを見ていると、ジオさんに睨まれた。
「お前ら!おばあちゃんと同じ顔でこっち見んな!!」
「英傑の銅像を飾ってるんだよな!それならあんまり不思議じゃないぞ、個人的嗜好はすごく感じるけど」
「建てた人がファンなのかな……」
俺たちの呟きにティアさんがけらけら笑い出す。その様子がなんだか新鮮だった。
施設の中に入らせてもらうも、おじいちゃん、おばあちゃんたちは皆ジオさんを二度見し、拝んでゆく。
「ありがたや……ありがたや……」
「これはそっくりさん?本物かい?」
「天国が近いのかねぇ……」
ジオさんの眉間の皺がどんどん深くなり、ティアさんは笑い過ぎてお腹を抑えていた。何の宗教施設なんだよここは。




