俺は皆の何なんだよ
ジオさんに見せて貰った魔核はずしりと重く、海の底のような昏い青色だった。
血まみれで、ふらつくほどに消耗して帰ってきたティアさん、ジオさんを見ても、どれほど相手が巨大で、手強かったかがうかがえる。でも、それよりそんな化け物相手に大きな怪我なく戦えたことの方がオドロキだ。
ーーー二人は、何者なんだろう。
「ああくそうざってえ、英傑、英傑って。ケツケツうるせえよ」
「食事時に品がなさすぎる。これだからオヤジは」
「ジオさんとティアさんさあ、昔何があったの?何でそんな仲良しなの?」
「冗談じゃない、俺は心の底からこいつを嫌悪しているぞアオイ」
そうかなあ、腐れ縁的な関係に見えるんだけどな。
「昔、魔物を退治する時に少し一緒に戦った、それだけだ」
「五年前だな、ティアは今よりずっとか弱くて、俺がいなかったら死んでいたろうな」
「一言多い!!」
ティアさんが酒の入ったジョッキをだん!とテーブルに叩きつける。
「それにしても、お前さん料理上手だな!『ルド』で働けそうだ」
「余計なこと言うな、アオイは俺が異世界転生をするための大事な案内だ」
「流石かーちゃんだぜ」
アリッサムが頷きながら肉を噛みちぎる。俺は皆の何なんだよ。
「ジオさんは何で英傑、って呼ばれてるの?」
するとティアさんがくくっと笑いだした。
「知りたいか?アオイ。では次、行ってみようじゃないか。ジオ縁の場所へ」
「アルストロメリアの勇者を探すんじゃなかったのかよ、お前さんらは」
「そのついでに魔物から魔核を取り除き、人助けをし、酒場『ルド』の宣伝をしているがな」
「おかしな旅だ」
そう言いながら、ジオさんがティアさんに向ける眼差しは、肉身に向けるみたいに優しいものだった。
「戻ってきたばかりでごめん、ベロニカを発つ前に、橋を直してあげたいんだ。力を貸してくれないか」
「言われずともやろうと思っていたぞ、アオイ」
「じゃあ俺は明日発つから、頑張ってな」
「逃さんぞジオ。英傑の名が泣くぞ?」
何でだろう、この二人が揃うと、何だって出来る気がした。




