リーダー権限発動!
血の匂いが取れない。
ベロニカが近づくにつれ、足取りが重く感じられた。
町に入った瞬間、皆が駆け寄り、英雄だの英傑だの騒いでいたが、俺は全てジオに押し付け、まっすぐ宿に向かった。
血まみれのローブを脱ぎ、ブーツを脱ぎ、アオイたちを探した。
「ティアさん!!」
目が合ったアオイは少し驚いた顔をして、すぐに屈託なく笑った。
「ティアくんだ!無事!?怪我ない!?」
「ったく無茶しやがって!!パーティ全滅したらどーすんだ!」
「ばう!」
「ティア〜〜〜!!もう!心配したわよ!」
エキナに力一杯抱きしめられる。胃の中の諸々が逆流するかと思った。
「……アオイ」
「?ティアさん、ジオのおっさんは?ご飯食べようよ」
「すまない」
「何が?」
唇が震える。アオイの目を見るのが怖かった。
「……ベヒモスを殺してしまった。魔核だけ取り除いても、人への危害は無くならないと判断したんだ」
アオイは一瞬、目を伏せたが、すぐに俺の方をじっと見た。その顔はいつもと変わらない顔に見える。
「……アオイ?」
「ティアさん、なんでフード脱いだの?」
「……血が付いているからだ」
アオイに勢いよく背中を叩かれる。驚きすぎて変な声が出た。
「お風呂入っておいで、ご飯の用意しておくから」
「な、何故叩く」
「そんな捨てられた子犬みたいな目で訴えかけられたら、何となく腹が立って」
アオイを怒らせた?どういうことだ?さっぱり分からない。
「アオイ、俺は
「命懸けでジオのおっさんと、僧侶さんのパーティと、ベロニカの人たちを守ったんでしょ。何で悲しそうなんだよ!誇れよ!」
アオイに背中を押され、宿を追い出された。
「あ、服は預かります。洗っておくから。こりゃー付け置き必要かな、重曹貰ってこよう」
「アオイ」
「何?」
「……俺は、ここにいてもいいか」
「何でそんなこと聞くの」
「俺は……」
「Aランクじゃないってそめちゃんが言ってたよ。その辺は後で詳しく聞かせてもらうから。リーダー権限発動!風呂に浸かれ、疲れを取れ!」
「……………」
「返事は」
何だそれは。そんな反応は想定していない。
「うわー!ティアくんが笑った!破壊力やばい!」
「どうするこの男、俺らの世界来たら死ぬ程モテるぞ?そめちゃん。ムカつくなー!」
「転生するまでもなくちやほやしてやるぞティアの野郎!早く戻って来い!オラァ!」
「アリッサムやめなさい!ティア嫌がってるでしょ!あーもー髪ぐしゃぐしゃ」




