ベヒモスを倒しに行くところだぞ!
ジオさんが早足でギルドに向かう。俺もそれに付いていく。何て脚が速いんだこの人。
ギルドの扉を開くなり、ジオさんは大声で言い放った。
「僧侶はいないか!解毒を頼みたい」
皆がジオさんを見る。皆が口々に『ジオ』『英傑だ』と囁くのが聞こえた。
もしかして、ジオさんって、とんでもなく有名な人なんじゃ。
一人の女性が手を挙げた。
「私は僧侶ですが、急ぎの依頼を請け負っていて手が離せません」
「頼む、こちらは一刻を争う!その依頼、俺が引き受けよう」
僧侶の横から、剣士がずい、と前に出てきた。
「出来るのかよ!?俺たちは全員Aランク、北に出たベヒモスを倒しに行くところだぞ!」
「約束する。僧侶、来てくれ」
その剣幕に押され、皆が黙った。とんでもないことを言っているのに、ジオさんの言うことは信じられる、何故だろう。
ジオさんは僧侶の手を引き、俺の前に戻ってきた。
「案内してやってくれ、アオイ」
「分かった、ありがとう、ジオさん。ーーどうか無事で」
ジオさんは先程の剣士のところへ話をしに行った。俺たちは宿屋へ真っ直ぐ向かう。
ベッドに横たわるエキナさんは、眠っているかのように静かだ。もう意識がないのかもしれないと震える。ケルベロスが急かすように吠えた。
「……かなり毒が回って、状態は極めて悪いですね」
「お願いします、エキナさんを助けてください!俺にできることなら何でもしますから!」
「では、共に祈りを捧げましょう」
僧侶の女性が跪き、手を顔の前に組んだ。彼女の体から温かい光が溢れ、エキナさんを包む。
何度も見た、エキナさんが使った光と同じだ。
俺はろくに魔法も剣も使えないし、咄嗟の判断も間違いだらけだ。俺の祈りが力になればいいのに。
俺の祈りをキツネ娘が知ったら、豊穣の神とやらが助けてくれるのかな?
そんなことを思い浮かべて、祈り続けた。




