酒場似合いすぎだろ
カルミアを発つ前に、酒場に寄っていこう!とそめちゃんに言われ、俺たちは今酒場にいる。
……なんか、何も悪いことしてないけどドキドキする。
ルドさんのお店は何だかんだ常連さんばっかりだったし、俺は働く側だったので気にしてなかったけど、普通の酒場ってこんな感じなんだ。
薄暗い店内、大きな話し声。お客さんも、いかつい人やガラが悪そうな人、正体不明の人が沢山いてちょっと怖い。
その時、上から降ってきた声に思わず体を強張らせた。
「そこの男の子、ちょっと場違いなんじゃな〜い?」
男は棘のたくさんついた金棒を背負い、体中に傷跡があった。……どうしよう、また追い剥ぎ?恐喝?
「ああン?かーちゃんになんか用か?」
「……用事なら、受けて立つが」
「アオイに酷いことしたら、俺、許さないからね!」
「ばう!」
アリッサムたちが凄んだものだから、男は『何でもねーよ』とぽそっと呟き、退散してしまった。
……このパーティ酒場似合いすぎだろ。
「う〜〜ん、一杯目のビール最高!!ごめんな俺だけ飲んでて」
「そめちゃん、何で酒場来たの?まさか飲みたかっただけじゃないよね?」
「もちろん!情報収集ときたら酒場でしょう!アルストロメリアの勇者について聞こうぜ!」
そめちゃんが椅子をずず、と隣のテーブルに寄せる。俺たちはその様子を窺っていた。
「どーも、どーも!お兄さんカンパーイ」
「おう、カンパーイ」
そめちゃんが声をかけたのは、短髪にターバン、黒いタンクトップに腕にびっしり刺青の入ったおじさんだった。
「お兄さん、それドラゴンの刺青?いかすねえ」
「おうよお、俺の故郷はドラゴンに守られてっからな!!にーちゃんもその腹に入れるかい?ガハハ!」
「おばちゃーん、このお兄さんに一杯持ってきてー。お代俺ね!お兄さん、俺たち魔物退治と一緒に、とある人に頼まれて人を探してるんだ。『アルストロメリアの勇者』って、聞いたことない?」
「いいの?ありがたく頂くよ。アルストロメリアねえ……どっかで聞いたような……『ベロニカ』の酒場で、その話聞いた気がするなぁ」
そめちゃんのコミュ力すごい。それともこれが居酒屋の普通なのかな、よく分からないが。




