お人よしだな、かーちゃんは!
カバちゃんの魔核はおばあちゃんにあげた。魔核があったことの証明になるからだ。
「しかしこの調子で魔核を人にあげていると、金が稼げないな……」
「それなら、ギルドで雑用をこなすのはどうかな?人助けになるし!」
「うん、それじゃカルミアのギルドにも行こう!」
カルミアのギルドは町の中心部にあり、ビスカリアのギルドより明るく、近代的な建物だった。
「いらっしゃいませ、ご登録ですか?」
茶色い髪をアップにした女性が声をかけてくれる。俺たちは互いに顔を見合った。
綺麗で若い女性に免疫がない男が集まってしまった、それだけである。
視線で『お前が行けよ』の合図を送り合っていても仕方ない。
「前のギルドで登録はしたんですが、こちらでも登録は必要ですか?」
「いいえ、一部の地域を除いて、基本的には初回のみで結構です。ただ、依頼をする、もしくは受ける場合は別途登録が必要ですので。本日はどのようなご用件で?」
すらすらと喋る女性を、どこか機械的とすら思ってしまうが、それだけ訪れる人が多いのだろう、きっと。
「依頼を受けたいんですけど」
「それでしたら、受けられる方のお名前をお伺いしてもよろしいですか?」
俺たちは一人ずつ名前を述べた。俺たちのステータス画面が次々と宙に浮かぶ。
いつ見ても不思議だ、これも魔法の力なんだろうか。
「ねえアリッサム、依頼はどうやって見るの?」
「壁に張り出してるギルドもあるが、ここは画面表示だろうな。……すんません、依頼一覧おねシャス」
急に声が小さくなるアリッサムが面白い、などと言ったらみぞおちに一発喰らいそうなので黙って笑いを堪えた。
「ほー、雑草むしり、屋根の修理、重いものの買い出し……この辺りがいいんじゃないか?」
「なるべく少ない数で報酬が多いものから選びたいが…どうだ?アオイ」
「うーん……困ってる度が高いやつとか、酒場の宣伝に結びつきそうなやつがいいかなあ」
「お人よしだな、かーちゃんは!」
アリッサムに笑われる。でも旅の本来の目的なんだからしょうがねーじゃん。
ふと、一つの依頼が目についた。
「……これ、急ぎだって。『病気の祖父の話し相手……孫の代役をお願いします』、どういうこと?」
ティアさんが画面をタップすると、詳細が表示された。『祖父はもうボケていて、実の子供のことも分かりません。ですが、十年前に家を出た孫のことをずっと話しています。孫とは連絡が取れないのですが、病気でもう長くない祖父に一目、孫を見せてあげたいのです……孫は黒髪、痩せ型、身長は……』」
なんかすごく嫌な予感がする。パーティの皆が俺を見始めたからだ。
「全ての条件を満たしていないか?アオイ」
「ひーん!!この方可哀想よォ、偽物でもいいわ、孫の姿見せてあげましょうよ!!」
問題は、孫、『女性』なのである。




