なんか、俺、役立たずだな
ティアさんの蔦を避け、追いかけるアリッサムから逃げ、そめちゃんの思惑どおりカーバンクルは畑の外へ転がり出た。
そめちゃんが両手を地面に付ける。
「出でよ、土ーーー!!!」
地面がせり上がり、レンガの下の土がカーバンクルを取り囲むように、円状に盛り上がる。俺の身長ぐらいの高さまで伸びると、ようやく止まった。
「す、すげえ……」
「カーバンクルちゃん!閉じ込められちゃった!でもちょっと可愛い!!」
なす術なくカーバンクルは、土壁の中でうろたえていた。
得意げに胸を張るそめちゃんを、信じられないという目でティアさんが見つめる。
「……お前、職業鑑定間違ってないか?駆け出し魔法使いにしては魔素のイメージがうますぎる」
「漫画でね!何度も見てるからね!!」
「今だ!魔核を取ろう」
俺は額に見えていた石を取ろうと手を伸ばした。
「アオイ、それは魔核じゃない!」
「え?」
ティアさんに止められる。出した手は思いっきりカーバンクルに噛まれた。
「痛たたたた!!!」
「あら!メッ、よ!カーバンクルちゃん!」
エキナさんがひょい、とカーバンクルを捕まえて抱き上げると、カーバンクルをこちょくりだした。
「これかしら?お腹のーーーえいっ!」
両手両足を広げ暴れるカーバンクルの腹から、エキナさんが魔核を引っ張り出した。それは青く透き通った宝石みたいで、ケルベロスのより小さい。
「額の石はカーバンクル自前のものなんだ、先に説明しておけば良かった、すまないアオイ」
「怪我大丈夫??すぐ治療するからね!」
片腕にカーバンクルを抱っこしたまま、エキナさんが回復の術を使ってくれた。大きな歯形はみるみる消えてゆく。
「……なんか、俺、役立たずだな……」
「そんなことないぞ吉田!適材適所っていうだろ、吉田の力が必要な時が絶対来る!」
「魔法の天才みたいな人に言われても」
「それよりカーバンクル、どうだ?凶暴性は失われてるだろうか?」
エキナさんの腕の中で、カーバンクルはきょとん、としていた。先程暴れていたやつと同一個体とはとても思えない。
「カ〜バンクルちゃ〜〜ん!いい子ね〜〜、俺たちオトモダチになれるわよね??」
エメラルドグリーンの体に大きな耳と尻尾、ひたいに赤い石。妖精みたいだ。
カーバンクルはエキナさんの顔を見つめ、あごに頭をこすりつけていた。




