オトモダチになるのが目的じゃないよ
『カルミア』はそこそこ大きな町で、そこかしこに白い石レンガが美しく敷き詰められていた。明るくて綺麗な町だ。
「そめちゃん、俺たち何したらいいと思う?」
「まず検証しなきゃ!本当に安全かどうかは分からない。何せサンプルまだ一体だから!」
検証という言葉に若干熱を感じた気がするのは、やっぱり化学の先生だからかなー。
「で、魔物を探すにはどうしたら……」
「決まっている。…………そこのご婦人、何か困っていることはないか?魔物とか……魔物とか……」
「え?」
「ティアさん、声が小さすぎておばあちゃんに聞こえてないよ」
「ババア!!魔物出て困ってねーか!??」
「アリッサム言い方ー!!すみませんおばあちゃんすみません」
メンバーが個性的すぎるのも困ったものだ。
おばあちゃんは俺たちの顔と服装を一通り見て、冒険者だと気付いたらしく、教えてくれた。
「最近畑が荒らされてて、困ってるのよ。犬みたいな猫みたいな姿なのに、かたーい殻で覆われてて、タックルしてくるの。厄介でしょ」
「ほう、カーバンクルか?腕鳴らしにはちょうど良さそうだな」
エキナさんが震えている。やっぱり戦闘は怖いのかな。
「エキナさん、大丈夫…
「可愛い!!!絶対可愛いわその子!会いたい!!ぜひ魔核を取ってオトモダチになりましょう!!!」
オトモダチになるのが目的じゃないよ、と言おうと思ったけど、怖くて誰も何も言えなかった。
魔物が出るのは夜、と相場が決まっている訳でもないが、俺たちは夜、町のはずれのおばあちゃんの畑の前で見張っていた。
「カーバンクル、ってどのぐらい強い?」
「正面から俺のパンチ喰らっても、まあ無傷なぐらい防御力は高ぇな!」
「これといって弱点はないしな……倒すより捕獲する方が向いているな」
「あんな可愛い子を傷付けるなんて俺には無理!無理無理」
ケルベロスだけが何か言いたそうにエキナさんを見ているが、エキナさんが振り向くと目を逸らした。お前も怖いんかい。
後ろで物音がする。小さな黒い影が畑に侵入していた。俺たちが目の前にいるのに、完全に舐められている。
「パンチが効かねえなら、とっ捕まえるまでよ!!」
アリッサムが両腕でがし、と黒い影を掴むも、黒い影は素早く体を丸めて殻に閉じこもった。
「いててて!!くそ、殻が刺さった!」
「……蔦よ伸びろ!そいつを捕えろ!」
黒い影に蔦が迫る。カーバンクルは丸まったまま転がり、素早く蔦を避け続けた。
「クッ……、蔦が殻で千切れる!」
「みんな!畑の外にカーバンクルを追いやって!」
そめちゃんが声を張り上げた。何か策でもあるのかな?




