願い事は心の中でいいんだぞ!
ルドさんに教えてもらった。ちょうど西の森の入り口付近の祠が崩れて、ほったらかしにされていると。
随分古くて何が祀られていたかも分からないので、俺たちはそこに小さな鳥居を建てることにした。
木を倒したり、掘ったりするのには酒場のお客さんの力も借りることができ、『それっぽい』鳥居が出来た。
「お賽銭箱、灯籠、小さな小屋が本殿がわり……うんうん、いいんじゃないか?」
「ここに小銭を入れて、お辞儀、拍手、お辞儀、お祈りするんだ。あ、鳥居くぐる前にもお辞儀忘れないでね」
何故か皆もお参りすることになったが、その方がご利益ありそうだ。
「……ここは神聖な場所なのだろう?結界を張っておくか」
ティアさんが穢れたものが入れないよう、結界まで張ってくれた。これで魔物に壊されたりすることも防げる。
二礼、二拍手、一礼。
「俺たちの旅が、無事に終わりますように!」
「かーちゃんにもっと褒められますように!」
「異世界で俺はもっとちやほやされたい!」
「全ての可愛いものが幸せになれますように!」
「みんなー、願い事は心の中でいいんだぞ!」
そめちゃんのツッコミが綺麗に決まる。
形ばかりではあるけれど、お酒と獣の肉をお供えする。
ーーー何となく、すっきりした。心が整った感じがする。
「帰ろう、ルドさんのお手伝いをしに」
森から抜ける途中、ふと後ろを振り返ると、供物の肉を咥えたキツネと目があった。
……まあ、いっか。腹の足しになるなら。
俺たちはルドさんに、三日後旅立つことを伝えた。
ルドさんは目を赤くして、それでも喜んでくれた。俺たち一人ずつにハグをしてくれた。アリッサムはちょっと照れながらも嬉しそうだった。
俺たちは止めたけど、ルドさんが『今晩は飲み食いタダだよ!皆たらふく食いな!』と大盤振る舞いを始めてしまった。
常連客たちは俺たちに『昔使ってた手袋だ』『薬草だ』などと、色んなものを持たせてくれた。
ジオさんは来なかった。最後に会いたかったな。
その晩、変な夢を見た。
狐の面を被った女の子が、沢山出てくる夢だ。




