食費はケチるんじゃないよ
そめちゃんが腕を組み、うんうんと頷いている。何か考え事をしている時の仕草だ。
「厳しいことを立て続けに言うけどな、吉田。俺を説得するのが目的じゃないんだ。皆を危険にさらしてまで、成し遂げたいことか?責任は取れるか?リーダー」
そめちゃんが笑顔で話す。そうなんだ、もうそめちゃんは俺の担任じゃない、ましてや保護者でも何でもないんだ。
「ケッ、意地の悪い言い方しやがるぜ、太っちょォ!!責任なんて、全員にあるだろうがよ!」
「……異世界に行きたいと言ったのは俺だ。俺の命の責任は俺にあるな」
「やだもう!こんな小さな子にリーダーを押し付けてたなんて!俺は俺の判断でアオイについていく、それだけよ!お互い助け合いましょ!」
アリッサム、ティアさん、エキナさん。皆の言葉の優しさに、込み上げるものがある。
「そんな時のための銀貨だろ?買える範囲で最上の武器と防具、回復薬を揃えてお行き。それと、食費はケチるんじゃないよ」
裏口からルドさんが出てきた。会話を全部聞かれていたようだ。
「……決めた、俺はやっぱりアルストロメリアに行くよ。その途中でできるだけ多くの魔核を取って、困ってる人は助けて、酒場『ルド』の宣伝をしたい。皆の言うことを聞いて、皆の安全を最優先にするから、力を貸してくれないかな」
皆の顔を見る。それぞれが頷いたり、グッドサインを出したり、拍手してくれた。
俺、やっぱりこの人たちに出会えて、恵まれてるなあ。
「旅に出る前に、やりたいことがあるんだけど」
「ギルドでステータスの確認か?」
「装備の買い出しだろう」
「酒場のお客さんへの挨拶ね!」
「……神社、建てたい」
皆がきょとんとする。意味が通じたのはそめちゃんだけなので当然だ。
「えーと、俺らの世界の、神様のおうち?みたいな?そこで、旅の無事をお祈りしたいというか…」
「規模がでかいな吉田!!でも、いいなそれ」
「なんかお参りしとかないと落ち着かないってゆうか……もう、日本人の血?」
神社ってどうやって建てるのかな。こっちの世界の神様、怒らないかな、とかちょっと不安ではあるものの。




