イメトレでもしてた?
ティアさんが魔法を使う時、わずかに杖から弾きでる火花みたいな、黄緑色の光。
それこそが濃縮された『魔素』だと教わった。
魔素はこの世界の至る所にあり、俺たちの体内には魔素の器があるらしい。
炎にも水にも、とにかくイメージ。イメージ出来た形に魔素は集まり、なんたら、かんたらで魔法になるらしい。(難しくてよく分からなかった)
「そろそろ『器』に魔素が溜まった頃だろう。アオイ、杖を持て」
「う、重い……杖って持たなきゃダメ?」
「軽い杖もあるが、全てはイメージに直結する。強い魔法を使いたいなら、強そうな杖が良いだろう」
「はいはーい!!つまり、素手でも強い魔法を使うイメージが出来たら、杖なしでもオッケーってこと!?」
「……理論上は、そうだ」
そめちゃんが手で謎の型を作っている。何それか○は○派??
ティアさんがこっちをじっと見る。多分、イメージとはそんな簡単じゃないんだよ……と言いたいんだろう。
そめちゃんが地面に両手を付ける。足元からピリッ、と刺激が走った。地面を青白い電流が走っている。まじか。
「……太っちょ、お前……何者だ?」
「太っちょじゃないですぅー!!染井、っていう名前があるんですよ、俺は!化学の教師!!」
「そめちゃん、もしかして現世にいる間イメトレでもしてた??」
「してたしてたー!!ポーズを決めて特殊能力引き出す技とか、ほうきを構えて龍を出す技とか!!今のはね、錬金術!!」
「……オタクだもんね、そめちゃん」
俺もオタクだけど、俺はゲーム派。そめちゃんは漫画派らしい。
じゃあ、ゲームで見たキャラの真似ならいけるかな??
「ふ〜じのやま〜、きよきながれ〜〜に、こころをよ〜せ〜て〜…」
左手を胸に添え、右手で杖を宙にかざすと、弱い水が渦を巻いて地面を流れた。すごい、これが魔法!!
「……なんで歌?しかもそれ校歌?」
「いや、ゲームのキャラが歌で魔法を使ってたから………小学校の校歌しか思い浮かばなくて」
そめちゃんに『吉田らしい』と笑われたけど、吉田らしいって何だよ。
「すごいなアオイ……天才だ」
「俺との扱いの差!!俺も褒めてよティアくん!!」
多分ゲームで実物のような光景を見てきたから、イメージ出来たんだと思う。ゲーマー万歳。
「そちらの世界の人間は、イメージが豊かなんだな。どんな世界なのか楽しみだ……ふふ……」
「それなんだけど、ティアさん。俺大事なこと言わなきゃいけなくて……」
「何だ?」
「……………俺たちの世界、魔法も魔素もないよ」
ティアさんの目が見開かれ、が、とかぐ、とか言葉にならない言葉をあげたあと、地面に手をついて這いつくばった。
「………ふふ……魔法が使えないなら、何のスキルが貰えるんだ?俺は新たな職業に就くのか……ふふ……」
三秒で立ち直った。ティアさんのメンタル強え。




