そのケルベロスは何だい
「おかえりアオイ。………増えてるね」
お店の前で心配そうに待ってくれていたルドさんが、俺たちの無事を確認して笑顔になったのも束の間、明らかに増えている人員(?)に顔をしかめる。
「また拾ってきたんだね、返しておいで」
「や、違うんです。この人は別に店で働きたい訳じゃなくて、ただ送り届けようと」
「そうなんですう〜!!俺、こう見えて力の弱い僧侶だから、アオイくんが助けてくれたんです!」
「そのケルベロスは何だい」
「俺の相棒というか、ペットというか?人懐こくて可愛いんですよ〜〜〜」
ルドさんはエキナさんとケルベロスと対峙しても、全くひるまない。流石勇者の母、只者じゃない。
「……無事に帰ってきたんだ、豪華な夕飯にしたから、食べてきな」
「え!!いいんですか!!俺、もうお腹ペコペコで〜!!」
酒場ルドは、俺たちのために貸切にしてくれたようだった。寄せられたテーブルにぎちぎちに並べられたご馳走。こんな嬉しいことがあるだろうか。
「……ルドさん、ありがとう。俺たちきっと、いや必ず、アルストロメリアの勇者に会いにいくから」
「いいんだよ、アオイ。あたしが望んでるのは、皆が元気でいることさ」
「大丈夫!ここにいる人たち、皆すごく強いんだ!……俺とそめちゃんを除いて」
ルドさんが吹き出す。そめちゃんが俺??ときょろきょろするのが可笑しくて、俺も笑ってしまった。
すると皆が俺の顔を見る。……なんか、場の空気がおかしなことになった。
「あんた……」
「か、かーちゃん……」
「吉田、笑うとすごい可愛いな!!いや変な意味じゃなく」
「は、はぁ?何だよ可愛いって……」
すると両肩をがしり、と掴まれた。エキナさんが目の前に立っていた。痛い痛い。
「……決めたわ、俺、貴方についていく」
「エキナさん!??」
「貴方の笑顔にハートをきゅーんと撃ち抜かれちゃった。俺、『可愛い』にほんと弱いの」
エキナさんの眼は心なしかキラキラしていた。アリッサムとティアさんは何か言いたそうにしているが、多分怖くて黙っている。
「……俺、別に旅してないんだけど……」
「えっ!?さっき勇者に会いに行くとかなんとか」
「もう少し準備してからね。俺はロクに剣も魔法も使えないからさ……」
皆が固唾を飲む。来るぞ、来るぞ、いつものやつ。
「じゃあ俺もここで働
「間に合ってるよ」
ルドさんにぴしゃりと遮られ、エキナさんはしょぼんと肩を落とした。ケルベロスはそんなエキナさんを慰めるように鼻頭を舐めていた。




